トレンドは続いているように見えるのに、「なんとなく勢いが弱くなってきた気がする…」と感じたことはないでしょうか。
そんな“目には見えにくい変化”を教えてくれるのが、RSI・ストキャス・MACDなどのオシレーター系指標で確認できるダイバージェンス(乖離)です。
ダイバージェンスとは、価格は高値更新や安値更新を続けているのに、オシレーター側の山・谷は逆向きに切り下がったり切り上がったりする現象のことで、「見た目はトレンド継続だけれど、中身の勢いは息切れしてきているかもしれない」というサインになります。
ただし、「ダイバージェンス=即トレンド転換」ではありません。 ここを勘違いして天底当てを狙い始めると、トレンドに逆らう逆張りエントリーが増え、かえって負けやすくなってしまいます。
そこで第47話では、ダイバージェンスの基本イメージ・RSIやストキャス・MACDでの見方・レギュラー/ヒドゥンの違い・トレードへの生かし方・弱点とダマシへの対処法を、FX初心者でも実戦に取り入れやすいレベルまで整理していきます。
「天井や底をピンポイントで当てる道具」ではなく、「終わりの気配をいち早く察知するセンサー」としての使い方を、一緒に身につけていきましょう。
ダイバージェンスとは?勢いの変化を読み取るサイン
第47話では、オシレーター系指標を一段深く使いこなすうえで欠かせないダイバージェンス(乖離)を取り上げます。
ダイバージェンスとは、価格の動きとインジケーターの動きが「逆方向」にズレる現象のことです。
たとえば、チャート上では高値更新を続けているのに、RSIやストキャスは高値を切り下げている。
あるいは、価格が安値更新を続けているのに、オシレーターの安値は切り上がっている。
この「価格は進んでいるのに、勢いは落ちてきている」というギャップが、トレンドの終盤や大きな調整の前に現れやすいサインとして注目されます。
まずは、ダイバージェンスの基本イメージと、どのインジケーターでどうやって確認するのかを整理していきましょう。
① ダイバージェンスの基本イメージ
ダイバージェンスの一番シンプルなイメージは、「価格の高値・安値の向き」と「オシレーターの高値・安値の向き」がズレる状態です。
たとえば、上昇トレンドが続いたあと、チャート上では高値Aよりも高値Bがわずかに更新されているとします。
しかしRSIを見ると、高値AのときのRSIのピークのほうが、高値Bのときよりも高くなっている。
このとき、
・価格の高値 … 切り上げ(上昇継続のように見える)。
・RSIの高値 … 切り下げ(勢いが弱まっている)。
というギャップが生まれているので、「見た目は高値更新だけれど、中身の勢いは落ちてきているかもしれない」という読み方ができます。
下降トレンドの終盤では、価格が安値更新しているのに、オシレーターの安値は切り上がるパターンがよく出ます。
これも同じく、「売りの勢いが弱まり始めているサイン」として解釈されやすいです。
大事なのは、「ダイバージェンス=即反転」ではなく、「ここから先はトレンドの息切れや大きな調整を警戒したほうがいいゾーンに入ってきた」という視点で見ることです。
② どのインジケーターでダイバージェンスを見るのか
ダイバージェンスは、主にオシレーター系指標で確認します。
代表的なのは、
・RSI(Relative Strength Index)。
・ストキャスティクス(Stochastics)。
・MACD(マックディー)のサインラインやヒストグラム。
といった指標です。
RSIは「上昇と下落の強さのバランス」、ストキャスは「レンジの中での位置」、MACDは「トレンドの勢いの変化」を見るインジケーターですが、どれも「勢いが強まっているのか、弱まっているのか」を数値化してくれます。
そのため、価格の高値・安値と、オシレーターの山・谷の形を比較すると、勢いのピークがどこだったのかが見えやすくなります。
どのインジケーターでダイバージェンスを見るかは好みですが、
・すでにメインで使っているオシレーターがあるなら、それを優先。
・RSIとMACD、どちらか一つに絞るとチャートがスッキリしやすい。
というくらいの割り切りを持つと、インジだらけになるのを防げます。
複数のオシレーターで同時にダイバージェンスが出ているときは、より強い「勢い低下」のシグナルとして意識しても良いでしょう。
③ レギュラーとヒドゥンダイバージェンス
ダイバージェンスには、ざっくり分けてレギュラー(通常)とヒドゥン(隠れ)の2種類があります。
初心者のうちは「レギュラーだけ」で十分ですが、違いを簡単に押さえておきましょう。
レギュラーダイバージェンスは、
・上昇トレンドの終盤:価格は高値更新、オシレーターは高値切り下げ(売り方向の転換シグナルになりやすい)。
・下降トレンドの終盤:価格は安値更新、オシレーターは安値切り上げ(買い方向の転換シグナルになりやすい)。
というパターンで、トレンドの転換や大きな調整を示唆することが多いとされます。
一方、ヒドゥンダイバージェンスは、
・上昇トレンドの押し目:価格の安値は切り上げているのに、オシレーターの安値は切り下げている。
・下降トレンドの戻り:価格の高値は切り下げているのに、オシレーターの高値は切り上げている。
といった形で、むしろトレンド継続のシグナルとして扱われます。
最初から全部覚えなくてOKです。
まずは「レギュラーダイバージェンス=トレンド終盤の注意サイン」としてしっかりイメージを固めてから、慣れてきたらヒドゥンダイバージェンスも少しずつ取り入れていきましょう。
ダイバージェンスをトレードにどう生かすか
つづいて、ダイバージェンスを「チャート眺めの豆知識」で終わらせず、実際のトレード判断にどうつなげるかを整理していきます。
ポイントは、ダイバージェンスを「エントリーのきっかけ」ではなく、「戦略を切り替えるタイミング」として扱うことです。
④ トレンド終盤の警戒サインとして使う
レギュラーダイバージェンスは、特にトレンドの終盤で「そろそろ勢いが限界に近いかもしれない」という警戒サインとして役立ちます。
たとえば、上昇トレンド中にロングポジションを持っているとき。
チャート上では高値更新が続いているのに、RSIが前回のピークよりも明らかに低い位置で天井をつけているとします。
このとき、
・新規の買い増しは控える。
・利確目標を少し手前に下げる。
・トレンドライン割れやサポート割れのときは、迷わず手仕舞いする。
といった「守り寄りのモード」に切り替える判断材料としてダイバージェンスを使えます。
「ここが天井だ!」と当てにいくのではなく、「そろそろ逃げ場を意識しよう」にギアチェンジするサインと考えると、トレード全体のリスクがかなり下がります。
⑤ 反転を狙うのか、手仕舞いを優先するのか
ダイバージェンスを見ると、「ここから反転を狙って逆張りしたい」という気持ちが出てきます。
ですが、初心者〜中級者のうちは、まず「ポジション整理と利確のサイン」として使うほうが安全です。
理由はシンプルで、ダイバージェンスは「勢いの変化」を教えてくれても、「どこで完全に反転するか」までは教えてくれないからです。
トレンドフォローのロングを持っているなら、「ダイバージェンスが出た段階で半分利確、残りはトレンドライン割れで全部手仕舞い」といった使い方が現実的です。
慣れてきたら、ダイバージェンス+ローソク足の反転パターン+ラインブレイクなど、複数の条件がそろったときだけ、少しずつ逆張りにもトライしていくと良いでしょう。
最初から「天底を取りにいく道具」として見てしまうと、余計なトレードが増え、メンタルも削られやすくなります。
⑥ どの時間足でダイバージェンスを見るか
ダイバージェンスは、時間足によって意味合いの重さが変わる点にも注意しましょう。
5分足や1分足のような超短期足では、小さな値動きでもすぐにダイバージェンスが出てしまいます。
一方、4時間足や日足でダイバージェンスが出るには、それなりに大きなトレンドや値動きが必要です。
そのため、
・短期足のダイバージェンス … スキャルやデイトレでの細かい押し戻りの目安。
・上位足のダイバージェンス … トレンドの終盤や大きな調整のシグナル。
といったイメージで、重みづけを変えて見るのが自然です。
おすすめは、「4時間足や日足のダイバージェンスを“相場全体の背景サイン”として意識し、実際のエントリーは1時間足などで行う」という使い方です。
大きな足で「そろそろ終盤かも」と把握しておけば、短期足での飛び乗りエントリーを減らせるようになります。
具体的なダイバージェンス活用パターン
ここからは、実際のチャートをイメージしやすいように、代表的なダイバージェンス活用パターンをいくつか言語化しておきます。
あくまで一例なので、「こういう形が多いんだな」という感覚で読んでみてください。
⑦ 上昇トレンドの天井付近でのダイバージェンス
・4時間足でしっかりした上昇トレンドが続いている。
・直近の高値Aを抜けて、高値Bを作ったが、Bの更新幅は小さい。
・RSIを見ると、高値A時点のピークのほうが高く、高値B時点ではピークが低い。
このとき、
・高値更新=買いの勢いはまだ残っているように見える。
・RSIのピーク低下=実際には勢いが落ちてきている。
というギャップがあるので、ロング側は「新規の追いかけはやめて、利確を検討する」フェーズに入ります。
その後、4時間足でトレンドラインを明確に割り、戻りで高値近くまで戻せずに売りが優勢になってきたタイミングで、初めてショートを検討する、という流れが現実的です。
ダイバージェンスが出た瞬間ではなく、「トレンドライン割れ+戻りの失敗」までセットで待てるかどうかが、逆張りの明暗を分けます。
⑧ 下降トレンドの底付近でのダイバージェンス
・4時間足で強い下降トレンドが続いている。
・安値Aを割って、さらに安値Bを更新したが、Bの更新幅は小さい。
・ストキャスを見ると、安値Aのときの谷のほうが深く、安値Bのときの谷は少し浅い。
このとき、
・価格は安値更新を続けている。
・ストキャスの安値は切り上がっている。
という形になっているので、「売りの勢いがそろそろ限界に近いかもしれない」と判断できます。
ここで、ショートを持っているなら、一部利確やストップの引き上げを検討するタイミングです。
その後、戻り高値を明確に上抜けたり、MAを上に抜けて押し目を作ったりする動きが出てきたら、「中期的なトレンド転換の初動かもしれない」と見て、ロング側の戦略も視野に入れていきます。
⑨ レンジ内でのダイバージェンス
ダイバージェンスは、トレンドだけでなくレンジ内でも出ることがあります。
たとえば、はっきりしたレンジの上限付近で、何度か高値トライが続いたあと。
価格はほぼ同じ水準で頭を抑えられているのに、RSIやストキャスのピークは徐々に切り下がっている、というパターンです。
これは、「レンジ上限での買いの勢いがだんだん弱くなってきている」と解釈できます。
すでにレンジ上限で逆張りショートを仕掛けているなら、追加の売り増しは控えつつ、レンジ下限付近までの値幅を狙う、といった戦略につなげられます。
ただし、レンジの中ではそもそも値幅が限られているので、「大転換を狙う」というより、「レンジの端から端までを丁寧に取るための補助」として考えておくとバランスが良いです。
ダイバージェンスの弱点とダマシへの対処
最後に、ダイバージェンスを使ううえで必ず押さえておきたい「弱点」と、その対処法をまとめておきます。
⑩ 何度も連続して出ることがある
一つ目の弱点は、ダイバージェンスは一度出たからといって、すぐにトレンドが終わるわけではないという点です。
強いトレンド中には、
・高値更新 → ダイバージェンス。
・さらに高値更新 → もう一段ダイバージェンス。
といったように、2回・3回と連続して現れることも珍しくありません。
このタイミングで毎回全力逆張りをしていると、「ずっと逆らい続ける人」になってしまいます。
対策としては、ダイバージェンスは「警戒モードへの切り替えサイン」として扱い、エントリーはトレンドライン割れやサポレジ割れなど、価格の明確な変化を待ってからにすることです。
⑪ 「いつ反転するか」は教えてくれない
二つ目の弱点は、ダイバージェンスが教えてくれるのは「勢いの変化」であって、「反転のタイミング」ではない、という点です。
勢いが落ちてきていても、そのままヨコヨコのレンジに移行するだけのこともあります。
あるいは、一度深めの押しや戻りを挟んでから、トレンドが再開するケースもよくあります。
つまり、ダイバージェンスは「方向の変化」ではなく、「モメンタム(勢い)の変化」を示しているだけです。
実際の反転ポイントは、ローソク足のパターンやサポレジ・トレンドラインのブレイクなど、他の要素と組み合わせて初めて見えてきます。
ダイバージェンス単体で「ここだ!」と決めつけないことが、ダマシに振り回されないための前提になります。
⑫ 他の根拠とセットで重ねる
三つ目のポイントは、ダイバージェンスは「他の根拠と重なったときにこそ価値が高まる」ということです。
たとえば、
・長期足の重要なサポレジライン付近。
・フィボナッチの61.8%や78.6%付近。
・トレンドラインやチャネルの端。
といった「もともと意識されやすい価格ゾーン」で、さらにダイバージェンスが出ているなら、そのシグナルの重みはぐっと増します。
逆に、何の節目もない真ん中あたりで出たダイバージェンスは、「たまたま短期の勢いが落ちただけ」という可能性も高いです。
ラインやトレンド、フィボナッチなどで「どこが勝負所になりそうか」を先に決めておき、そのゾーンに価格が近づいてきたときだけダイバージェンスをチェックする、くらいの距離感がちょうどいいと思っておいてください。
まとめ|ダイバージェンスは「天底当て」ではなく「終わりの気配」を教えてくれるサイン
第47話では、RSI・ストキャス・MACDといったオシレーター系指標で確認できるダイバージェンス(乖離)について、基礎から実戦での考え方まで整理しました。
価格が高値更新や安値更新を続けている一方で、オシレーターの山・谷が逆向きに切り下がったり切り上がったりするレギュラーダイバージェンスは、「見た目のトレンド継続に対して、中身の勢いが弱まりつつある」ことを示すサインでした。
特に、上昇トレンドの高値圏・下降トレンドの安値圏・レンジ上限/下限付近で現れるダイバージェンスは、「ここから先は追いかけるより、利確やポジション整理を優先したほうがいいかもしれないゾーン」として意識することで、新規エントリーを絞り込み、守り寄りの判断に切り替えるきっかけになります。
一方で、ダイバージェンスには「一度出てもすぐに反転するとは限らない」「勢いの変化は教えてくれても、反転のタイミングまでは教えてくれない」といった弱点もありました。 そのため、トレンドライン割れ・サポレジ割れ・ローソク足の反転パターンなど、価格側の明確な変化とセットで使うことが、ダマシに振り回されないための前提条件になります。
ダイバージェンスを「天井や底を当てるための魔法のサイン」と見るのではなく、「トレンド終盤の気配を察知し、攻めから守りへギアチェンジするためのセンサー」として位置づけることで、リスク管理の質が一段上がります。
次回は、今回のダイバージェンスも含め、テクニカル指標全般を使ううえでの共通の落とし穴や、インジケーターに振り回されないための考え方を整理し、「指標を見る前に、まず何を考えるべきか」という視点を一緒に固めていきましょう。
【投資に関する注意】
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