ここまでのシリーズでは、ダウ理論やトレンド、ライン、インジケーター、チャートパターン、窓開けなど、チャート上で完結する「テクニカル分析」を中心に学んできました。
ここからはいよいよ、チャートの外側にあるファンダメンタルズ(経済・金利・インフレ・政治・戦争・災害など)に目を向けていきます。 「ファンダって難しそう」「ニュースなんて全部は追えない」と感じるかもしれませんが、実はFXトレーダーに必要なのは“全部のニュースを覚えること”ではありません。
大事なのは、ニュースを「景気・金利にプラスかマイナスか」「その通貨にとって買い材料か売り材料か」とざっくり分類し、それをチャートの流れと結びつけて考えられるようになることです。 それだけでも、「なぜ今日はこんなに動いたのか」「今はそもそも触るべきなのか」を判断しやすくなります。
第59話では、まず入口として「なぜテクニカルだけでは足りないのか」「ファンダメンタルズ分析とは何をすることなのか」を整理しつつ、マクロ環境・リスクイベント・経済指標&中央銀行という3つの柱、そして「方向はファンダ」「タイミングはテクニカル」という役割分担の考え方を、FX初心者向けにかみ砕いて解説していきます。
テクニカルだけでは見えない「相場の裏側」を知る
ここまでのシリーズでは、ダウ理論やトレンド、ライン、インジケーター、チャートパターン、窓開けなど、チャート上で完結する「テクニカル分析」を中心に見てきました。
ここからはいよいよ、チャートの外側にあるファンダメンタルズ(経済・ニュース・金利・政治など)に目を向けていきます。
「ファンダメンタルズって難しそう」「ニュースなんて全部は追いきれない」と感じるかもしれません。
ですが、基本的な考え方さえ押さえておけば、すべてのニュースを暗記する必要はありません。
第59話では、まず入口として「なぜテクニカルだけでは足りないのか」「ファンダメンタルズ分析とは何をすることなのか」を整理し、これから先のファンダ編の「土台」を作っていきます。
① なぜファンダメンタルズを完全無視してはいけないのか
最初に結論から言うと、「ファンダメンタルズを勉強しなければ勝てない」とまでは思いません。
テクニカルだけを軸にして勝っているトレーダーも、実際に存在します。
ただし、ファンダメンタルズを“完全に無視する”のは危険です。
なぜなら、相場の大きな方向性を動かしているエンジンの多くが、
・各国の景気や金利。
・インフレや物価。
・政治の安定・不安定。
・戦争やテロ、災害などのリスク要因。
といったテクニカルの外側にある要素だからです。
チャートだけを見ていると、「よく分からないけど急にトレンドが変わった」「いきなりボラが上がった」という場面に、どうしても多く遭遇します。
そのたびに、「また訳も分からずやられた」と感じていると、メンタルも削られていきます。
最低限のファンダメンタルズを知っておくことは、
・「なぜこんなに動いているのか」をざっくり説明できるようになる。
・「今は触るべきタイミングじゃない」と判断できるようになる。
この2つの力を身につけることでもあります。
② ファンダメンタルズ=ニュースの暗記ではない
ファンダメンタルズという言葉を聞くと、「毎日ニュースをチェックして、世界中の経済動向を覚えないといけないのかな」と構えてしまいがちです。
ですが、FXの個人トレーダーに必要なのは、
・今日どんなニュースが出たかを全部覚えること。
ではなく、
・ニュースの「種類」と「方向性」をざっくり分類できること。
です。
たとえば、
・そのニュースは、「景気にプラス」なのか「マイナス」なのか。
・「金利を上げやすくする材料」なのか「金利を下げさせる材料」なのか。
・その国の通貨にとって「買い材料」なのか「売り材料」なのか。
といったざっくり3段階評価ができれば、それだけでもチャートの見え方は変わります。
ファンダメンタルズ分析とは、「ニュースの暗記」ではなく、「ニュースをどう分類して、どうチャートの流れと結びつけるか」の訓練だと考えてみてください。
FXで押さえるべきファンダメンタルズの3つの柱
③ マクロ環境(景気・金利・インフレ)
ファンダメンタルズと聞くと難しく感じますが、FXで見るべきポイントは大きく3つに絞れます。
ひとつめがマクロ環境(景気・金利・インフレ)です。
ざっくり言えば、「その国の経済が元気かどうか」「物価がどれくらい上がっているか」「金利を今後どうしたいか」といった話ですね。
FXでは、
・景気が強い。
・金利が高い(あるいは今後上がりそう)。
・物価が程よく上がっている。
といった国の通貨は、長期的に「買われやすい方向」に傾きやすくなります。
逆に、景気が弱く、金利も低く、インフレも弱い国の通貨は、「売られやすい方向」に傾きやすいです。
もちろん、短期的にはテクニカルやセンチメントでいくらでもブレますが、「長期の土台として、どの通貨が“強い側”で、どの通貨が“弱い側”なのか」を把握するために、マクロ環境のざっくり理解は欠かせません。
④ 各国のリスクイベント(戦争・災害・政治)
2つめの柱がリスクイベントです。
戦争、テロ、大規模な災害、政権交代、クーデター、国民投票、金融危機……。
こうした出来事は、チャートに「ギャップ」「急落・急騰」「長期トレンドの転換」として現れることがよくあります。
リスクイベントの難しいところは、
・いつ起こるか分からない。
・どの程度マーケットが織り込んでいるか分かりにくい。
という点です。
だからこそ、リスクイベントを「取りに行く」のではなく、
・大きな選挙がある週はポジションサイズを落とす。
・地政学リスクが高まっている間は、短期トレードに徹する。
といった“守りを固めるきっかけ”として活用する発想が大切になってきます。
⑤ 経済指標と中央銀行
3つめの柱が経済指標と中央銀行です。
雇用統計、CPI(消費者物価指数)、GDP、PMI、政策金利発表、FOMCやECBなどの記者会見……。
これらはニュースサイトや経済カレンダーに、「重要度★3」などの形で一覧表示されています。
FXトレーダーにとって重要なのは、
・「結果の良し悪し」そのものよりも、「市場予想とのギャップ」。
・その結果を受けて、「中央銀行が何をしそうか」。
という2点です。
詳細は次話以降で掘り下げますが、ここではまず、「経済指標と中央銀行の動きが、通貨の長期トレンドの燃料になる」というイメージだけ持っておけば十分です。
ファンダメンタルズとテクニカルの「役割分担」を決める
⑥ 大きな流れはファンダ、タイミングはテクニカル
ファンダとテクニカルの関係を一言でまとめると、
「方向性」はファンダ、「タイミング」はテクニカル
というイメージが分かりやすいです。
ファンダメンタルズは、
・ドルがしばらく強くなりやすいのか。
・円が安全資産として買われやすい状況なのか。
・ユーロ圏に不安材料が多いのか。
といった「数週間〜数ヶ月スパンのざっくりした流れ」を教えてくれます。
一方で、
・どこでエントリーするのか。
・どこにストップを置くのか。
・どこで利確するのか。
といった「具体的なトレードの組み立て」は、やはりチャート(テクニカル)の出番です。
ファンダだけでタイミングを決めようとすると、どうしても感覚頼りになってしまいます。
逆に、テクニカルだけで方向を決めようとすると、「強いニュースに逆らって延々と逆張りしてしまう」といった落とし穴にハマりがちです。
だからこそ、「方向のヒントはファンダ」「エントリーと決済はテクニカル」と役割を分担して考えることで、両者がケンカせずにすみます。
⑦ 「ニュース→チャート」で整理する癖をつける
ファンダメンタルズを身につけるうえで、いちばん簡単で効果的なのが、
・ニュースを見たら、必ずチャートもセットで見る。
という習慣です。
たとえば、
「アメリカの雇用統計が予想より強かった」というヘッドラインを見たら、ドル円やユーロドルのチャートを開いて、、
・どの時間足で、どれくらい動いたのか。
・短期的な乱高下のあと、最終的にどちら側に落ち着いたのか。
をチェックします。
この「ニュース → チャート」のセット練習を繰り返していると、
・このタイプのニュースは一時的に終わりやすい。
・このタイプのニュースは、トレンドの継続や転換につながりやすい。
といった、自分なりの「体感的なパターン」が蓄積されていきます。
逆に、ニュースだけ眺めていても、トレードにはなかなかつながりません。
⑧ 予想外のニュースが出たときの身の守り方
ファンダメンタルズを学ぶ目的のひとつは、「大きく勝つ」ためではなく、むしろ「致命傷を避ける」ためです。
どれだけ勉強しても、予想外のニュースやイベントは必ず起こります。
そんなときに大事なのは、
・分からない動きだと感じたら、一旦ポジションサイズを落とす。
・チャートのボラティリティが明らかに跳ね上がっているときは、新規エントリーを控える。
・「取り返したい」という感情が湧いてきたら、その日はトレードを終える。
といった「守りのルール」です。
ニュースの内容が完璧に理解できなくても、チャートの状態や自分の感情を見て「今は危ない時間帯だな」と判断できること。
これこそが、ファンダメンタルズとテクニカルを組み合わせた“生存戦略としてのファンダ分析”です。
初心者が最初に整えるべき「情報の見方・受け取り方」
⑨ 何でも追わない|チェックするニュースを絞る
ファンダメンタルズを学び始めると、最初にぶつかる壁が「情報量の多さ」です。
世界中で、毎日のようにニュースや指標が流れています。
すべてを追おうとすると、あっという間にパンクします。
そこでおすすめなのは、
・自分がトレードする通貨ペアに関係する国。
・そのうち、「重要度★3」以上の指標やイベント。
だけを、まず押さえることです。
たとえばドル円なら、
・アメリカと日本の重要指標。
・アメリカと日本の中央銀行イベント。
・米国や日本にとって大きな影響がありそうな事件・事故・天災。
このあたりに絞るだけでも、十分戦えます。
「世界中のすべて」ではなく、「自分が触る通貨に関係するところ」だけを見るという発想に切り替えてみてください。
⑩ ヘッドラインに振り回されないための3つの工夫
ニュースサイトやSNSを見ていると、センセーショナルな見出しが山ほど流れてきます。
それに振り回されると、トレードの軸がすぐにブレてしまいます。
ヘッドラインに飲まれないために、次のような工夫をしてみましょう。
ひとつめは、「ニュースのタイトルだけで判断しない」ことです。
タイトルは感情を揺さぶるために強めに書かれることが多いので、本文を少し読んで「結局、景気や金利にとってプラスかマイナスか」だけを拾うようにします。
ふたつめは、「チャートで答え合わせをする」ことです。
ニュースを見たあと、必ず関係する通貨ペアのチャートを確認し、「マーケットはどう反応したか」を見る習慣をつけます。
みっつめは、「時間をおいてから考える」ことです。
重要ニュースの直後は、どのみちプロ同士の殴り合いになりやすいので、15〜30分は手を出さない、と決めてしまうのも有効です。
この3つを徹底するだけでも、ヘッドラインに踊らされる回数はかなり減ります。
⑪ 自分のトレードスタイルに合う情報量を決める
ファンダメンタルズ情報との付き合い方は、トレードスタイルによっても変わります。
たとえば、数日〜数週間持つスイングトレードなら、
・各国の景気や金利の方向性。
・中長期的なテーマ(金融政策、インフレ、戦争など)。
に比重を置いてニュースを見るのが自然です。
一方、数時間以内で完結させるデイトレなら、
・その日の重要指標の時間。
・その前後のボラティリティの変化。
・政策決定会合や要人発言の直後は、いったん見送る。
といった「時間帯とリスク管理寄りのファンダ」のほうが重要になります。
自分がどの時間軸でトレードしたいのかを決め、その時間軸に合った情報量だけを取りに行く。
この順番を間違えなければ、ファンダメンタルズはあなたの武器になっていきます。
まとめ|ファンダメンタルズはニュース暗記ではなく「流れを理解するための道具」
第59話では、ファンダメンタルズ分析の入り口として、「なぜテクニカルだけでは足りないのか」「ファンダとは何をすることなのか」を整理しました。
FXにおいてファンダメンタルズは、チャートだけでは説明しきれない「相場の背景と長期の流れ」を理解するための道具です。 景気・金利・インフレといったマクロ環境、戦争や災害・政治不安などのリスクイベント、経済指標と中央銀行の動き──この3つの柱が、通貨の強さ/弱さやトレンドの方向性を決める“エンジン”として働いていました。
一方で、ファンダメンタルズは「世界中のニュースを暗記する勉強」ではありません。 必要なのは、
・そのニュースが景気や金利にとってプラスかマイナスか。
・その通貨にとって買い材料か売り材料か。
・マーケットが実際にチャート上でどう反応したか。
をざっくり分類し、「ニュース → チャート」で答え合わせする習慣を持つことでした。
また、ファンダとテクニカルの役割分担として、
・方向性(どの通貨が強くなりやすいか)はファンダがヒントをくれる。
・具体的なエントリー/損切り/利確のタイミングはテクニカルで決める。
という考え方を持つことで、「ニュースに振り回される」状態から、「ニュースを自分のシナリオの材料として使う」状態に近づけることも確認しました。
さらに、何でもかんでも追うのではなく、自分がトレードする通貨ペアに関係する国と、重要度の高い指標・イベントだけに絞ること、そして予想外のニュースや異常なボラティリティが出たときには「守りに切り替えるスイッチ」として使うことも、大事なポイントです。
ファンダメンタルズは、「ニュースに詳しい人になる」ためではなく、「相場の裏側の流れを少しだけ理解し、生き残る力を高める」ためのもの。 そう捉え直しておくと、必要以上に構えずに済みます。
次回はこの土台を踏まえつつ、まず「各国の事件・事故・天災・テロ・紛争などが為替にどんな影響を与えるのか」にフォーカスし、「有事のときに相場がどう反応しやすいのか」「そもそもポジションをどう守るべきか」という視点から深掘りしていきます。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
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