チャートパターン編の中でも「トレンド転換の代表格」として知られているのが、ヘッドアンドショルダー(三尊)/逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)です。
教科書では「真ん中の山(谷)が一番高く(低く)、左右に肩のような山(谷)ができる形」と説明されますが、実際のチャートはそこまできれいではなく、「これって三尊なのか、ただの乱高下なのか」が分かりにくく感じることも多いはずです。
本質的には、ヘッドアンドショルダーは「真ん中のヘッドで勢いのピークをつけ、その前後の肩で徐々に失速していく過程」が図形として見えているだけであり、形だけを追いかけるとダマシに振り回されてしまいます。
そこで第53話では、ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)を「図形」ではなくトレンドのピークアウトプロセスとしてとらえ直し、「どんな場所でこそ狙うべきか」「ネックラインの引き方」「エントリー・損切り・利確の基本形」「未完成パターンやなんちゃって三尊との付き合い方」「上位足との組み合わせ方」までを、FX初心者でも実戦に落とし込みやすいよう整理していきます。
ダブルトップ/ボトムよりも一段大きな“トレンドの天井・底”をとらえやすいパターンなので、焦らずゆっくり型をインストールしていきましょう。
ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)で大きな転換をとらえる
チャートパターン編の第53話では、代表的な転換パターンであるヘッドアンドショルダー(三尊)/逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)を扱います。
教科書では「真ん中の山(谷)が一番高く(低く)、左右に肩のような山(谷)ができる形」として紹介されますが、実際のチャートでは左右対称にきれいに出ることの方が少なく、「これは三尊なのか、ただの乱高下なのか」と迷いやすいパターンでもあります。
そこでこの回では、ヘッドアンドショルダーを単なる図形ではなく、「トレンドの勢いがピークをつけて、徐々に鈍っていく過程」として理解し、「どんな場所でこそ注目すべきか」「ネックラインの引き方」「エントリー・損切り・利確の基本形」「ダマシや未完成パターンとの付き合い方」までを整理していきます。
ダブルトップ/ボトムよりも、もう一段“大きな転換”をとらえやすいパターンなので、焦らずゆっくり型をインストールしていきましょう。
① ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)のざっくりイメージ
まずは、ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)のイメージをシンプルに押さえておきましょう。
三尊(ヘッドアンドショルダー)は、
・左肩:上昇トレンドの中でつけた高値。
・ヘッド:左肩よりも一段高い、トレンド全体のピークとなる高値。
・右肩:ヘッドには届かないものの、一度は再度上昇した高値。
という3つの山が並んだ形です。
逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)はその反対で、
・左肩:一度沈み込んだ安値。
・ヘッド:左肩よりも深い、トレンド全体のボトムとなる安値。
・右肩:もう一度売られたものの、ヘッドほどは下がらなかった安値。
という3つの谷が並んだ形です。
ここで大事なのは、「真ん中のヘッドが最も極端で、その前後で勢いが弱くなっている」という流れです。
三尊=買いの勢いのピークと失速、逆三尊=売りの勢いのピークと失速と、ざっくり覚えておきましょう。
② ダブルトップ/ボトムとの違いは「真ん中のピーク」
前回扱ったダブルトップ/ボトムと、三尊/逆三尊はよく似ています。
どちらも、「ある価格帯を何度か試したけれど、ブレイクできなかった結果として流れが変わった」というパターンです。
違いは、ざっくり言うと「真ん中のピークが強く出るかどうか」です。
ダブルトップは、ほぼ同じ高さの山が2つ。
三尊は、真ん中のヘッドが最も高く、その前後の肩が少し控えめ。
これは、
・一度、かなり勢いよく高値(安値)を更新した。
・そのあとで、その勢いが続かなくなってきた。
という「ピークアウトのプロセス」がより時間をかけて表現されているイメージです。
そのぶん、ダブルトップ/ボトムよりも、中期的なトレンド転換を示唆しやすいパターンとして扱われます。
③ どんな場所で出ると意味が重くなるのか
三尊/逆三尊も、他のチャートパターンと同じく「場所」が半分以上です。
もっとも注目したいのは、
・日足や4時間足レベルで続いてきたトレンドの終盤。
・過去にも何度も止められている長期サポレジ付近。
・フィボナッチ61.8%など、複数の根拠が重なっている価格帯。
こうした「そもそも反転が起こりやすいゾーン」に三尊/逆三尊が出るときです。
逆に、トレンドの真ん中や、特に節目もない価格帯で出る三尊っぽい形は、単なる「押し目/戻り」の一部で終わることも多く、精度はどうしても落ちます。
実戦では、
① 上位足でトレンド方向と、高値圏/安値圏を確認する。
② 長期で効いているサポレジラインを引いておく。
③ そのゾーンで「ヘッドと左右の肩」になりそうな形が出ていないかを見る。
という順番を徹底して、「場所 → 形」の順でチャートを見る癖をつけておくと、無駄な“なんちゃって三尊”に振り回されにくくなります。
ネックラインとエントリー・損切り・利確の基本形
④ ネックラインの引き方と「傾き」の許容範囲
ヘッドアンドショルダーで欠かせないのがネックラインです。
三尊の場合は、「左肩の谷」と「ヘッドから下げた後の谷」を結んだライン。
逆三尊なら、「左肩の戻り高値」と「ヘッドからの戻り高値」を結んだラインになります。
このネックラインが、パターンの境界線として機能し、「ここを明確に割る(抜ける)かどうか」がトレンド転換のトリガーになります。
実戦のチャートでは、谷(もしくは戻り高値)がピッタリ同じ高さになることは少なく、ネックラインがやや斜めになることも普通です。
その場合は、
・ローソク足の「実体」が意識されていそうな位置に合わせる。
・ヒゲの先端まで含めるかどうかは、全体のバランスを見て判断する。
といった形で、多少の傾きは許容して構いません。
大切なのは、「ここを抜けたら、今までとは違う展開になりそうだ」と自分で納得できるラインを引けているかどうかです。
⑤ エントリー基本形|ネックラインブレイク
エントリーの基本は、ネックラインブレイクです。
三尊の場合:ネックライン割れでショート。
逆三尊の場合:ネックライン上抜けでロング。
よくある失敗は、「右肩ができそうだから」という段階で先回りエントリーしてしまうことです。
右肩ができる前に、ヘッドを更新してそのままトレンド継続してしまえば、三尊パターン自体が成立しません。
ネックラインブレイクを待つのは、
・「三段構えのピークアウト(ボトム)が一通り終わった」あと。
・「それまでの押し安値(戻り高値)を明確に崩した」あと。
という2つの条件が満たされるまで、エントリーを我慢するという意味でもあります。
⑥ 損切りは「ヘッドの外側」に置く理由
損切りは、基本的に「パターンが崩れたと判断できる位置」に置きます。
三尊で売る場合は、ヘッドとなる高値の少し上。
逆三尊で買う場合は、ヘッドとなる安値の少し下。
そこを抜けてしまったら、「真ん中のピーク(ボトム)が一番極端」という前提が崩れるため、素直にパターンとしては負けを認めるのが自然です。
もちろん、その分だけ損切り幅が広くなることも多いので、
・事前に「ネックラインとの距離」を測る。
・自分が1回のトレードで許容できる損失額から、ロットを逆算する。
というリスク管理が必須になります。
損切り幅を狭くしたいからといって、ネックラインのすぐ上/下に置いてしまうと、「ちょっとした戻しですぐ刈られて、その後に本命の方向へ走る」パターンに巻き込まれやすくなるので要注意です。
⑦ 利確目安|ヘッドからネックラインまでの値幅活用
利益確定の目安としてよく使われるのが、「ヘッドからネックラインまでの値幅」です。
具体的には、
・三尊なら、ヘッド高値とネックラインの差を測る。
・その値幅を、ネックラインから下にコピーしたあたりを第1ターゲットにする。
・逆三尊なら、その逆方向で設定する。
これは、「パターンの高さぶんだけ、ブレイク後に動きやすい」という経験則に基づいた目安です。
ただし、実戦では、
・その手前に、上位足のサポート/レジスタンスがないか。
・直近の安値/高値が「壁」になりそうではないか。
なども合わせて確認し、無理にフル値幅を狙いすぎないことも大切です。
現実的には、第1ターゲットで一部利確してリスクを減らし、残りはトレールや移動平均線割れなどで“伸ばせるところまで伸ばす”イメージの方が、メンタル的にも続けやすくなります。
三尊/逆三尊の具体イメージとありがちな落とし穴
⑧ 上昇トレンドの天井で出る三尊パターン
典型的なシナリオとして、上昇トレンド終盤に出る三尊をイメージしてみましょう。
日足で見ると、安値と高値を切り上げながら順調に上昇してきたあと、
・左肩:過去のレジスタンス付近で一度頭を押さえられる。
・ヘッド:そのラインを一度上抜けるものの、終値ベースでは上ヒゲを残して失速。
・右肩:再度上昇するが、ヘッドの高値には届かず、勢いが鈍ってくる。
という流れで3つの山が作られるイメージです。
このとき、4時間足や1時間足で見ると、右肩部分では「上髭の多い小さなレンジ」や「ダブルトップ」が内側にできていることもよくあります。
ネックラインを割り込んだあと、
・一度ネックライン近くまで戻してくる「戻り」を待ってショート。
・損切りはヘッド高値の少し上。
・第1目標は、ヘッド~ネックラインの値幅ぶん下。
という形でシナリオを組むと、「トレンドの天井を取りにいく」イメージがつかみやすくなります。
⑨ 下降トレンドの底で出る逆三尊パターン
逆三尊は、下降トレンドの「売りが出尽くしつつある局面」でよく現れます。
長く続いた下落トレンドの中で、
・左肩:一度大きく売られて安値をつけ、そこから戻す。
・ヘッド:戻り売りが入り、左肩を割り込む強い下げでボトムを更新。
・右肩:もう一度売られるが、今度はヘッド安値を更新できずに切り上げて反発。
という形で、「売りの勢いが徐々に弱くなってきている」ことを示します。
この2つの戻り高値を結んだネックラインを上にブレイクし、さらにそのラインがサポートとして機能し始めると、「下落トレンドがひとまず終わり、中期的な戻り局面に入る可能性」が高まります。
特に、
・日足や週足レベルのサポートゾーン。
・フィボナッチの重要水準(61.8%など)。
と重なっている逆三尊は、長めの戻りを狙えるチャンスになりやすいので、スクショを集めて研究しておく価値があります。
⑩ 未完成の“なりかけ三尊”に飛びつかないコツ
三尊/逆三尊で一番ありがちな失敗は、「まだ右肩もネックラインブレイクも出ていない段階で、なりかけの形に飛びついてしまうこと」です。
「左肩とヘッドっぽい形ができたから、もうすぐ三尊になるはずだ」と先回りしてしまうと、その後ヘッドを更新してトレンド継続してしまい、逆行に巻き込まれるパターンが頻発します。
対策としては、
・「最低でも右肩の候補ができるまでは様子を見る」と決める。
・「エントリーはネックラインブレイク、もしくはその後の戻りに絞る」とルール化する。
・どうしても先回りしたいなら、ロットを半分以下に抑える。
といった工夫で、「期待値の低い飛びつき」を減らしていきましょう。
三尊/逆三尊は、それだけじっくり形成されるパターンなので、「待てる人ほど取りやすい」という側面があります。
⑪ ネックライン割れ後の戻り売り/押し目買い
ネックライン割れ(抜け)直後は、もっとも目立つエントリーポイントに見えるため、
・ブレイクに飛びついたトレーダー。
・それまで逆方向のポジションを持っていたトレーダーの損切り。
が一気にぶつかり合う場面です。
このゾーンでエントリーしても構いませんが、どうしてもダマシも多くなりやすい場所でもあります。
そこで、
・ブレイク直後は一度スルーする。
・その後、ネックライン近くまで戻してきたところで「戻り売り/押し目買い」を狙う。
という戦略も覚えておくと、だいぶ戦いやすくなります。
戻りを待つと、「そのまま走ってしまうパターン」は取れませんが、
・エントリー位置が有利になる。
・損切り幅をコンパクトにしやすい。
・「抜けたかと思ったら全戻し」というダマシのストレスを減らせる。
といったメリットがあります。
三尊/逆三尊のように「大きな転換」を狙うパターンほど、「全部の値幅を取ろうとしない」割り切りも大事になってきます。
⑫ 上位足と組み合わせて「大きな転換」だけを狙う
最後に、マルチタイムフレームとの組み合わせについて触れておきます。
5分足や15分足でも三尊/逆三尊らしき形は頻繁に出ますが、短期足のパターンは、
・ちょっとしたニュース。
・ロンドン・NYオープンなどのフロー。
で簡単に壊されてしまうことも多いです。
一方、4時間足や日足レベルでじっくり形成される三尊/逆三尊は、それだけ多くのトレーダーが意識しているため、ブレイク後の値幅も大きくなりやすくなります。
おすすめは、
・日足/4時間足で三尊/逆三尊を探す。
・そのうえで、1時間足や15分足でネックライン周りの値動きを細かく見る。
・エントリータイミング自体は下位足でとるが、「どこからどこまでの流れを狙っているのか」は上位足ベースで決めておく。
という役割分担です。
「上位足の三尊/逆三尊」+「下位足でのネックラインブレイク or 戻り」という組み合わせは、相場全体の流れとエントリー精度のバランスが良く、FX初心者でも取り組みやすい型になりやすいです。
まとめ|三尊/逆三尊は「ピークアウトのプロセス」が見える大きな転換パターン
第53話では、ヘッドアンドショルダー(三尊/逆三尊)をテーマに、その構造とエントリー・損切り・利確、そしてダマシへの付き合い方までを整理しました。
三尊/逆三尊はいずれも、真ん中のヘッドで勢いのピークをつけ、その前後の肩で徐々に勢いが鈍っていく過程が3つの山(谷)として現れたパターンでした。単なる「きれいな3つの山/谷」ではなく、「ピークアウトの物語」が時間をかけてチャート上に描かれていると考えると、形に振り回されにくくなります。
特に意味が重くなるのは、日足・4時間足といった上位足のトレンド終盤で、過去にも何度も意識されているサポート/レジスタンス付近に現れる三尊/逆三尊でした。こうしたゾーンで、ヘッドが最も極端な高値(安値)となり、右肩で高値(安値)が更新できなくなってきたところでネックラインを割る(抜ける)動きは、中期的なトレンド転換につながりやすいサインになり得ます。
エントリーはネックラインブレイク(もしくはその後の戻り売り/押し目買い)に絞り、損切りはヘッドの外側=パターンが崩れたと判断できる位置に置くこと、利確は「ヘッドからネックラインまでの値幅」や次のサポレジを目安に段階的に行うことが、リスクとリワードのバランスを取るうえで有効でした。
一方で、左肩とヘッドだけができた段階で「なりかけ三尊」に飛びついてしまうと、その後ヘッド更新でトレンド継続…という典型的な逆行パターンに巻き込まれがちです。最低でも右肩候補とネックラインブレイクを待つこと、そして上位足トレンドとの整合性を確認することが、三尊/逆三尊と上手に付き合うための鍵になります。
今後は、日足・4時間足レベルの三尊/逆三尊を意識しつつ、1時間足や15分足でネックライン周りの値動きを細かく観察し、「上位足の大きな転換+下位足でのエントリー精度」という組み合わせを少しずつ練習してみてください。次回は、フラッグ/ペナントやレンジブレイク型など、その他の代表的なチャートパターンも含めて全体を俯瞰し、「どのパターンをどの時間軸で使っていくか」の戦略を整理していきます。
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