前回はMACDの仕組みや見方を中心に、「相場の勢いを可視化する指標」として整理してきました。
とはいえ、実際のチャートの前に立つと「クロスが出たら入ればいいの?」「ゼロラインを抜けたら逆張り?」と、どうトレードに組み込めばいいか迷いやすいところです。
そこで今回の第37話では、MACDを“サイン”としてではなく、トレンドフォローの中でどう使うかにフォーカスして解説していきます。
移動平均線やトレンドラインで方向と押し目・戻りを決めたうえで、MACDは「勢いの確認役」として添えるイメージを持てると、インジケーターに振り回されにくくなります。
MACDのゴールデンクロスやゼロラインクロスを、エントリーの合図ではなく「流れの強さを測る材料」として使う感覚を、一緒に身につけていきましょう。
MACDをトレードにどう位置づけるか
前回はMACDそのものの仕組みや見方を整理しましたが、ここからは実際のトレードの中でMACDをどう使うのかを具体的に見ていきます。
まずは「MACDをエントリーの合図として使うのか」「それとも流れの強さを測るために使うのか」といった、役割の決め方から整理しておきましょう。
① サインではなく「勢いの確認ツール」として使う
多くの初心者が最初にやってしまうのが、MACDを「ゴールデンクロスしたから買い」「デッドクロスしたから売り」といった、単純な売買サインとして使うことです。
これだと、MACDのシグナルが出るたびに振り回されてしまい、トレードが落ち着かなくなります。
そもそもMACDは、価格そのものではなく、移動平均線同士の関係から「トレンドの勢い」や「変化」を教えてくれるインジケーターです。
つまり、本来の役割は「ここでエントリーしろ」という直接的な指示ではなく、今の流れが強まっているのか、弱まりつつあるのかを可視化することにあります。
エントリーや決済の判断は、あくまでトレンドの向きやライン、ローソク足の形など、価格そのものから考えるのが土台です。
そのうえで、「今の判断は相場の勢いと合っているか?」を、MACDで再確認するイメージで使っていくと、バランスが取りやすくなりますよ。
② ゼロラインとトレンド方向の関係を見る
MACDの基本にあるのが「ゼロラインとの位置関係」です。
MACDがゼロラインより上にあるときは、上昇方向の勢いが優勢になっている状態と考えられます。
反対に、ゼロラインより下にあるときは、下降方向の勢いが続いているイメージです。
ここで大切なのは、「ゼロラインを少し抜けたからすぐに買い/売り」という発想ではなく、チャート上のトレンドとMACDの位置関係が整っているかどうかを見ることです。
チャートが明らかな上昇トレンドなのに、MACDがずっとゼロラインの下でウロウロしているようなら、時間足や設定を見直す必要が出てきます。
逆に、下落トレンドなのにMACDがゼロラインの上で張り付くような状態であれば、そのトレンドは一度落ち着きつつあるのかもしれません。
③ 時間足ごとの使いどころを決めておく
MACDは、時間足によって見え方が大きく変わるインジケーターです。
5分足のMACDは非常に細かく動き、ノイズも多くなりがちです。
一方で、4時間足や日足のMACDは、ゆっくりとした動きになり、大きな流れの転換を捉えやすくなります。
そのため、「どの時間足ではMACDをメインで見るのか」「どの時間足ではほとんど参考程度にとどめるのか」を自分の中で決めておくと、判断がブレにくくなります。
例えば、4時間足のMACDで大まかな勢いを確認し、15分足ではあくまで補助的にクロスを見る、といった使い分けですね。
なんでもかんでも全部の時間足でMACDを意識してしまうと、かえって何を信じていいか分からなくなりがちなので注意です。
MACDの基本シグナルとその読み取り方
ここからは、MACDの代表的なシグナルを整理しながら、「どう読めばよいか」「どう使えば危なくないか」を具体的に見ていきます。
サインをそのまま売買に直結させるのではなく、相場の状態を理解する材料として解釈していくイメージを持ってください。
① ゴールデンクロス/デッドクロスの意味
MACDと言えば、まず思い浮かぶのがシグナル線とのクロスですよね。
MACDがシグナル線を下から上に抜ける動きは、一般的にゴールデンクロスと呼ばれます。
これは「下落が落ち着き、上昇方向の勢いに切り替わりつつある」というサインとして解釈されます。
反対に、MACDが上から下にシグナル線を割り込む動きは、デッドクロスです。
こちらは「上昇の勢いが弱まり、下落方向に流れが傾きつつある」可能性を示唆していると考えられます。
ただし、クロスが出た瞬間だけを見てエントリーしてしまうと、ダマシに振り回されるリスクが一気に高まるので注意が必要です。
大事なのは、クロスがどの位置で起きているのか、そしてチャート上のトレンドと矛盾していないかをセットで確認することなんですよね。
② ゼロラインクロスで流れの変化を探る
MACDがゼロラインを跨ぐ動きは、「相場の流れが中立から上方向/下方向に傾き始めた」ポイントとして意識されます。
例えば、長くゼロラインの下で推移していたMACDが、ゆっくりとゼロラインを上抜けていく場面。
これは、下降トレンド一辺倒だった流れに、買いの勢いが混ざり始めているサインとして見ることができます。
ただし、ゼロライン付近ではMACDが行ったり来たりしやすく、ノイズも増えがちです。
ですから、ゼロラインクロスは「トレンドが完全に転換した」というゴールではなく、「変化のスタートラインに立ったかもしれない」という捉え方をしておくと、過大評価しなくて済みます。
チャート上で高値・安値の切り上げ/切り下げが変わってきているかどうかも、必ず一緒に確認したいポイントですね。
③ ダイバージェンスは「終わりの気配」として見る
MACDの代表的な活用法のひとつが、ダイバージェンスです。
価格が高値更新を続けているのに、MACDは前の山より低い位置にとどまっている。
あるいは、安値更新が続いているのに、MACDの谷が浅くなっている。
こうしたズレは、「トレンドは続いているけれど、勢いの裏側では疲れが出始めている」状態を示していることがあります。
とはいえ、ダイバージェンスが出たからといって、すぐさま逆張りで飛び込むのはかなり危険です。
あくまで「そろそろこのトレンドも終盤かもしれない」と構えを変える材料にとどめ、エントリーはきちんとした転換パターンやラインブレイクを待ってからでも遅くありません。
MACD×トレンドフォローの実践イメージ
ここからは、実際にトレンドフォローのなかでMACDをどう組み込むか、具体的な流れのイメージを共有していきます。
移動平均線やトレンドラインで方向と押し目候補を決めつつ、MACDは「勢いの確認役」として使っていくイメージです。
① まず移動平均線とトレンドラインで「大枠」を決める
いきなりMACDからチャートを見始めるのではなく、まずは移動平均線やトレンドラインで「相場の大枠」を決めるのが基本です。
例えば、4時間足で長期の移動平均線が右肩上がりになっていて、安値も切り上がっているとします。
この場合、「大きな流れは上」と判断し、買い目線を優先するのが自然ですよね。
そのうえで、トレンドラインやサポートラインを引き、「どのあたりまで押してくれば押し目買いを検討するか」というゾーンをざっくり決めておきます。
ここまで来て、初めてMACDの出番です。
方向を決めて、ゾーンを決めて、そのあとにMACDでタイミングを整えるという順番を崩さないことが、トレードの軸をブレさせないコツになります。
② 押し目・戻りの終わりをMACDで確認する
上昇トレンドの押し目を狙う場合をイメージしてみましょう。
価格が一度下がってきて、移動平均線やトレンドライン付近まで戻ってくる。
このとき、短期的には下落の流れが出ているので、その流れが落ち着くまではエントリーを待つ必要があります。
ここで使えるのが、MACDのゴールデンクロスや、ヒストグラム(棒グラフ部分)の勢いの変化です。
押し目の最中は、MACDもゼロラインを割り込んだり、マイナス側で推移したりしやすくなります。
そこからヒストグラムのマイナス幅が徐々に小さくなり、やがてプラス側に戻っていくようであれば、「下落の勢いが弱まり、再び上昇トレンドに戻る準備が整いつつある」と考えることができます。
このタイミングが、ラインや移動平均線で見ていた押し目ゾーンと重なっていれば、エントリー候補としての信頼度が一段階上がるイメージです。
③ 損切りと利確の考え方にMACDをどう絡めるか
損切りや利確の位置そのものは、これまで学んできたように、基本的にはラインや直近の高安値を基準に決めていきます。
では、MACDはどこで役立つのかというと、「ポジションを持ち続けるかどうかの判断」に使いやすいです。
たとえば上昇トレンドに乗れているとき、価格がまだ高値を更新しているのに、MACDの山が前回より明らかに低くなってきたとします。
これは勢いの鈍化を示している可能性があり、部分利確を入れたり、ストップを少し切り上げたりする判断材料になります。
逆に、含み損を抱えているときに、MACDがさらにトレンド方向に加速しているようなら、予定していた損切りラインまで引きつけた方が良い場面もあるでしょう。
「感情で利食い・損切りする」のではなく、「MACDの勢いを見て計画どおり実行する」ための補助輪として使うと、トレードが安定しやすくなります。
MACDを使ううえでの注意点と付き合い方
最後に、MACDをトレードに組み込むときに気をつけたいポイントを整理しておきます。
ここを押さえておくだけでも、「MACDのせいで負けた」という感覚からはかなり解放されるはずです。
① サインを鵜呑みにせず「文脈」で見る
MACDはとても便利なインジケーターですが、「クロスが出たから入る」「ゼロラインを抜けたから逆張り」といった単純な使い方は、正直おすすめできません。
重要なのは、そのシグナルがどんな相場状況の中で出ているのかという「文脈」です。
強いトレンドの途中で出たクロスと、レンジの真ん中で出たクロスでは、意味合いがまったく違います。
また、直前の値動きが急騰・急落だったのか、じわじわとした動きだったのかでも、MACDの反応は変わってきます。
MACDのシグナルそのものより、「シグナルが出るまでの値動き」を大事にするという意識を持っておくと、使い方がぐっと落ち着いてきます。
インジケーターではなく、あくまで価格が主役だと忘れないことですね。
② レンジ相場ではダマシが増えやすい
MACDはトレンド系インジケーターに分類されることが多く、トレンドが出ている相場ほど機能しやすくなります。
逆に、上下に行ったり来たりするレンジ相場では、クロスやゼロライン抜けが頻発し、ダマシが一気に増えがちです。
レンジの真ん中で、MACDのクロスだけを頼りにエントリーしてしまうと、すぐ逆方向に振られてストップにかかるといった展開も多くなります。
ですから、そもそも「今はトレンド相場なのか、レンジ相場なのか」を判別する目を養うことが、MACDを使いこなすうえでもとても大切です。
その判断には、これまで学んできたトレンドラインや水平線、ボリンジャーバンドなどがしっかり役立ってくれます。
インジケーター同士をうまく役割分担させるイメージで、組み合わせていきたいところです。
③ 設定値の正解探しより「自分の検証」を優先する
MACDには「標準設定」がありますが、ネットや本ではさまざまな設定値が紹介されています。
そこで陥りがちなのが、「もっと勝てる設定はないか」と、設定値の沼にはまってしまうパターンです。
正直なところ、設定の違いは「どのくらい早く反応するか」「どれくらい滑らかにするか」といった程度の差にすぎません。
それより重要なのは、自分がよく見る時間足と通貨ペアで、同じ設定を使い続けて検証することです。
標準設定でも十分戦えますし、少しだけ自分好みに調整した設定を決めてしまえば、あとは過去チャートで「どんなときに機能しやすいのか」を体感で覚えていけます。
設定探しの旅よりも、検証ノートを1冊作るほうが、トレードの力は確実についていきますよ。
まとめ|MACDは「勢いの確認役」としてトレードに組み込む
MACDは、価格そのものではなく移動平均線の関係から、トレンドの勢いと変化を可視化してくれるインジケーターです。
ゴールデンクロスやデッドクロス、ゼロラインクロスといったシグナルは便利ですが、それ自体を売買ボタンのように扱うと、ダマシに振り回されやすくなります。
大切なのは、移動平均線やトレンドラインで「方向」と「押し目・戻りのゾーン」を決め、そのうえでMACDで勢いの強弱や変化を確認するという役割分担です。
また、トレンド相場とレンジ相場ではMACDの機能し方が変わること、時間足によってノイズの量も変わることを意識して、「どの時間足で何を見るのか」をあらかじめ決めておくと判断がブレにくくなります。
設定値の正解探しに時間を使うより、自分がよく見る時間足と通貨ペアで、同じ設定のMACDを使い続けて検証するほうが、トレードの精度は着実に上がっていきます。
次回は、MACDも含めたインジケーターに頼りすぎず、相場の流れそのものに乗るための考え方について、もう一段深く掘り下げていきましょう。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
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