チャートに「ストキャスティクス」を表示してみたものの、線がチョコチョコと動きすぎて、「これ、どう読めばいいの?」と感じたことはないでしょうか。
ストキャスティクス(Stochastics)は、一定期間の高値と安値のあいだで、「今の価格がレンジのどのあたりにいるのか」を0〜100の数値で教えてくれるオシレーター系指標です。
RSIが「上昇と下落のバランス」を見るのに対して、ストキャスは「直近の値動きレンジの中での位置」を見るイメージに近く、特にレンジ相場での行き過ぎや反発ポイントの目安として使われることが多いです。
ただ、「80で売り・20で買い」「%Kと%Dのクロスがサイン」といった表面的な知識だけで使ってしまうと、トレンド相場でノイズだらけのシグナルに振り回され、かえって勝ちにくくなってしまいます。
そこで第44話では、ストキャスティクスの仕組み・%Kと%Dの意味・表示方法・基本的な売買判断・設定値と時間足の考え方・注意点を、FX初心者でも使いどころがイメージできるレベルまで整理していきます。
「なんとなくそれっぽい線」から一歩進んで、ストキャスにどんな役割を持たせるかを一緒に明確にしていきましょう。
ストキャスティクスとは何か?まずは仕組みと表示方法を押さえる
第44話では、RSIと並ぶ代表的なオシレーター系指標であるストキャスティクス(Stochastics)を取り上げます。
名前はカタカナで少しとっつきにくいですが、役割としては「今の価格が、直近の値動きレンジの中でどのあたりにいるか」を教えてくれるインジケーターです。
ざっくり言えば、「最近の高値と安値の中で見ると、今は上のほうなのか、下のほうなのか」を数値で示してくれるイメージですね。
まずはストキャスティクスの基本イメージと、%K・%Dという2本のライン、そしてチャートへの表示方法を整理していきましょう。
① ストキャスティクスの基本イメージ
ストキャスティクスは、一定期間の高値と安値の中で、「現在値がどの位置にいるか」を0〜100の数値で表したものです。
たとえば、直近14本のローソク足の中で、一番高いところを「100」、一番低いところを「0」としたときに、今の価格がだいたいどのあたりにいるのかを示してくれます。
・高値付近にいれば、ストキャスの数値は80〜100の高いゾーンに。
・安値付近にいれば、20〜0の低いゾーンに。
・レンジの真ん中あたりなら、50前後をうろうろ。
こうやって、「直近の値動きレンジの中での相対的な位置」を教えてくれるのがストキャスティクスです。
RSIが「上昇と下落のバランス」を見るのに対して、ストキャスティクスは「レンジの中の位置」を見るイメージ、とざっくり分けておくと理解しやすくなります。
② %Kと%Dラインの意味をざっくり理解する
ストキャスティクスを表示すると、だいたい2本、場合によっては3本のラインが表示されます。
よくある表示は、
・%K(パーセントK)…敏感に動くメインのライン
・%D(パーセントD)…%Kをならした、やや滑らかなライン
という2本の組み合わせです。
%Kは、「今の価格がレンジのどこにいるか」をほぼそのまま数値化したもの。
%Dは、その%Kを平均化して、少しだけ遅れてついてくるようになっているイメージです。
この2本のラインがクロスしたり、80ライン・20ラインの外から中に戻ってきたりする動きが、ストキャスティクスの基本的なサインになります。
細かい計算式を覚える必要はありません。
ひとまず、「よく動く%Kと、それを少し遅れて追いかける%Dがある」くらいの理解で十分です。
③ チャートに表示する手順イメージ
ストキャスティクスの表示方法は、使っているツールによって多少の違いはありますが、流れはほとんど同じです。
MT4やTradingViewなどのプラットフォームであれば、
・「インディケーター」「テクニカル指標」のメニューを開く。
・一覧の中から「Stochastic Oscillator」や「Stochastics」を選ぶ。
・パラメータ(%K期間・%D期間・スローなど)を確認する。
・レベル(80と20など)をそのまま使うか確認する。
といった流れで設定画面を開きます。
最初は、よくあるデフォルト設定(例:%K=5、%D=3、スロー=3、レベル80/20)のままでOKです。
設定を確定すると、ローソク足の下に「0〜100」のスケールを持ったサブチャートが表示され、その中で%Kと%Dが上下に動いているのが見えるはずです。
まずは数日〜数週間分のチャートをスクロールしながら、「どんなときに80以上や20以下になっているか」を目で追ってみましょう。
ストキャスティクスの基本的な売買判断
ここからは、ストキャスティクスを使った「基本的な売買判断」の考え方を整理していきます。
教科書的には、
・80以上 → 買われすぎゾーン
・20以下 → 売られすぎゾーン
という説明がよく出てきますが、そのまま「80で売り、20で買い」とやるのは危険です。
まずは、「どういう理屈でそういう見方をするのか」「どんな相場で機能しやすいのか」を押さえておきましょう。
① 80以上=買われすぎ、20以下=売られすぎ
ストキャスティクスの基本的な解釈として、
・80以上 → 直近レンジの高値付近=買われすぎ
・20以下 → 直近レンジの安値付近=売られすぎ
という考え方があります。
たとえば、直近14本の中で一番高いところを100、一番低いところを0としたとき、
・80を超えている → かなり上のほう(高値近く)にいる。
・20を割っている → かなり下のほう(安値近く)にいる。
という意味になるので、「そろそろ行き過ぎかもしれない」と判断する材料にはなります。
ただし、80や20のラインは“必ず反転する壁”ではなく、「行き過ぎ度合いの目安」に過ぎないことを忘れないようにしましょう。
強いトレンドの中では、80以上に張り付いたまま上昇が続くこともあれば、20以下のまま下落が続くことも多いです。
② %Kと%Dのクロス(ゴールデン・デッドクロス)
ストキャスティクスでは、%Kと%Dが交差するポイントもよく売買サインとして使われます。
・%Kが%Dを下から上に抜ける → ゴールデンクロス(買いサインとされやすい)
・%Kが%Dを上から下に抜ける → デッドクロス(売りサインとされやすい)
特に、
・20以下の売られすぎゾーンでゴールデンクロス → 「売られすぎからの反発」
・80以上の買われすぎゾーンでデッドクロス → 「買われすぎからの反落」
といった組み合わせは、教科書でもよく紹介されるパターンです。
ただし、ここでもクロス“だけ”でエントリーしないことが重要です。
あくまで「レンジの端に来ているか」「上位足のトレンドはどうか」「直近の高値・安値はどこか」といった、価格側の条件と一緒に判断していく必要があります。
③ レンジ相場では比較的機能しやすい
ストキャスティクスは、RSI同様、トレンド相場よりもレンジ相場との相性が良いインジケーターです。
価格が一定の高値・安値の間を行き来しているとき、
・レンジ上限付近で80以上+デッドクロス。
・レンジ下限付近で20以下+ゴールデンクロス。
といった形が出ると、「レンジ内の行き過ぎからの反転」が起こりやすいポイントとして注目できます。
一方で、強いトレンドが出ている場面では、
・80以上に張り付いたままゴールデンクロスとデッドクロスを繰り返す。
・20以下に張り付いたまま何度もサインが点灯する。
という「ノイズだらけ」の状態になりがちです。
ストキャスティクスを使うときは、「今はレンジっぽいのか、トレンドっぽいのか」を先に判断しておくことが前提になります。
ストキャスティクスの設定値と時間足の考え方
つづいて、ストキャスティクスの「設定値」と「時間足」について整理します。
ストキャスティクスは、設定を変えると動き方がかなり変わるインジケーターなので、ここをなんとなくで触りすぎるとすぐに迷子になります。
① まずはデフォルト設定からスタート
ストキャスティクスの設定画面には、だいたい
・%K期間
・%D期間
・スロー(Slow)
といった項目があります。
ツールによって初期値は少し違いますが、「5,3,3」や「14,3,3」などがよく使われる組み合わせです。
いきなり細かくいじるのではなく、まずはデフォルト設定でどんな動きをするのかを、自分の目で確認することが先です。
「自分のトレード時間軸」と「デフォルト設定のストキャス」がどのくらい噛み合うのかを、過去チャートで観察してみましょう。
② 期間を短く・長くしたときの違い
期間(%K期間)を短くすると、ストキャスはより敏感に動くようになり、80/20のラインに到達する回数も増えます。
そのぶんサインは増えますが、ノイズも増え、ダマシのゴールデン・デッドクロスが多発しがちです。
逆に期間を長くすると、動きは滑らかになり、80/20に到達する回数は減ります。
その代わり、「本当に行き過ぎた場面」だけに反応しやすくなりますが、タイミングとしてはやや遅くなります。
どちらが正解という話ではなく、「自分はたくさんサインが欲しいのか、厳選されたサインだけでいいのか」に合わせて調整していくイメージです。
いきなり大きく変えるのではなく、「5→7」「14→10」など、少しずつ前後させながら過去検証してみてください。
③ 時間足ごとの特徴をつかむ
ストキャスティクスは、同じ設定値でも「どの時間足で見るか」によって印象がまったく変わります。
5分足や1分足のような短期足では、ストキャスは上下に激しく動き、80・20への出入りも頻発します。
一方で、4時間足や日足のような上位足では、ストキャスの動きはゆったりになり、80・20に届くのは「本当に大きく動いたとき」だけになります。
短期足でのストキャスはスキャル〜デイトレの細かいタイミング取りに向きますが、その分ダマシも多く、精神的な負荷も増えます。
上位足でのストキャスは、トレンドの中での「大きな行き過ぎ」や「転換の前兆」を見るのに向いていますが、チャンスの回数は減ります。
まずは、自分がメインにしたい時間足(1時間足なのか4時間足なのかなど)を決め、その足でのストキャスのクセを知ることから始めましょう。
ストキャスティクスを正しく使うための注意点
最後に、ストキャスティクスを使うときに特に気をつけたいポイントをまとめておきます。
ここを意識しておくだけで、「ストキャスのシグナルに振り回されるモード」からかなり抜け出しやすくなります。
① ストキャスだけで売買判断しない
もっとも大きな注意点は、「ストキャスのシグナルだけで売買しない」ことです。
80を超えたから売り。
20を割ったから買い。
クロスしたからエントリー。
こうした「ストキャスだけトレード」は、強いトレンドで逆張りばかりになり、あっという間に資金を削られます。
ストキャスは、あくまで「価格とトレンドの判断をサポートする補助指標」です。
上位足のトレンド方向、サポレジライン、ローソク足の形などを見たうえで、「最後のひと押し」として使う意識を持っておくと、安全度がぐっと増します。
② サインの出すぎ・ノイズに注意
ストキャスティクスは、ちょっとした値動きにも反応しやすいインジケーターです。
期間を短くしたり、短期足で使ったりすると、
・80/20を何度も出入りする。
・ゴールデン・デッドクロスがひっきりなしに点灯する。
といった「サインだらけ」の状態になってしまいます。
この状態で全部のサインに反応していたら、心もお金も持ちません。
「レンジの端に価格がいるときだけ見る」「トレンド方向の押し目・戻りでだけ使う」といった形で、あらかじめ「使う場面」を限定しておくのが現実的です。
③ 自分なりの「使いどころ」を決める
最後に大事なのは、ストキャスティクスにどんな役割を持たせるかを、自分の言葉で決めておくことです。
たとえば、
・基本はトレンドフォロー。押し目・戻りのタイミングを見るためにだけストキャスを使う。
・レンジ相場で、レンジ上限/下限+ストキャスの80/20+クロスが揃ったときだけ逆張りを検討する。
・長期足のストキャスで「今はかなり行き過ぎている相場なのかどうか」を確認する。
といったように、「何でもかんでもストキャスで判断する」のではなく、「この場面でこう使う」と役割を限定してしまうのがコツです。
第45話では、この基礎を踏まえて「ストキャスティクスを使ったトレード」を、具体的なエントリー・決済のイメージまで掘り下げていきます。
まとめ|ストキャスは「レンジ内での位置」と「行き過ぎ」を見る補助インジ
第44話では、オシレーター系指標のひとつであるストキャスティクスについて、その仕組み・表示方法・基本的な売買判断・設定と時間足の考え方・注意点を整理しました。
ストキャスは、一定期間の高値と安値を基準に、「今の価格がレンジのどの位置にいるか」を0〜100で示す指標でした。 RSIが「上昇/下落のバランス」を見るのに対し、ストキャスは「レンジの中の相対的な位置」を見るイメージです。
80以上を買われすぎ、20以下を売られすぎとする考え方や、%Kと%Dのゴールデン・デッドクロスが売買サインとして意識される一方で、それらを「単独でエントリー根拠にしてはいけない」こと、特にトレンド相場では80や20に張り付いたままノイズを量産する危険性があることも確認しました。
また、%K期間・%D期間・スロー値をいじるほどサインの出方は変わり、短期足ほどサイン過多になりやすいことから、まずはデフォルト設定で自分のメイン時間足のクセを観察し、「レンジの端でだけ見る」「トレンド方向の押し目・戻りでだけ使う」など、自分なりの“使いどころ”を限定することが大切だとお伝えしました。
ストキャスは、価格やトレンドを決める「主役」ではなく、あくまで「レンジ内での位置」や「行き過ぎ具合」を教えてくれる補助インジです。 サインそのものよりも、「どんな相場環境でそのサインが出ているのか」をセットで見る意識を持つことで、振り回される側から使いこなす側へと一歩近づけます。
次回の第45話では、今回の基礎編を踏まえて「ストキャスティクスを使ったトレード」の具体例──レンジでの逆張り、トレンド方向の押し目・戻りのタイミング取りなど──を、エントリー・利確・損切りのイメージまで落とし込んで解説していきます。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
FX取引は元本保証のないリスクを伴う金融商品です。実際のトレードは、必ずご自身の判断と責任にて行ってください。
詳しくは当サイトの免責事項をご確認ください。