ここまでRSI、ストキャスティクス、MACD、ダイバージェンス…と、いろいろなテクニカル指標を見てきました。
便利なインジケーターが増えてくると、「この組み合わせさえ見つければ勝てるんじゃないか」と期待したくなりますが、同時に「どのサインを信じればいいの?」と迷いも増えていきます。
実際、テクニカル指標は使い方を間違えると、サイン待ち病・ポジポジ病・設定いじり沼・聖杯探し・インジだらけチャートといった、典型的な“負けパターン”を引き起こしやすい道具でもあります。
そこで第48話では、あえて一歩引いて、テクニカル指標を使ううえでの大前提・陥りがちな罠・健全な付き合い方・実戦でのチェックリストをまとめて整理していきます。
「主役はあくまで価格とトレンド構造。 インジはその見立てを補強する脇役」という前提に立ち返りながら、インジに振り回されないための“ちょうどいい距離感”を一緒に作っていきましょう。
テクニカル指標を使うときに知っておくべき大前提
ここまでRSI、ストキャス、MACD、ダイバージェンスと、いろいろなテクニカル指標を見てきました。
便利なインジケーターが増えてくると、「これさえあれば勝てるんじゃないか」という期待も、どうしても膨らみます。
第48話では、あえて一歩引いて、「テクニカル指標を使う上での注意事項」をまとめておきたいと思います。
どれだけ優れたインジを覚えても、前提となる考え方を間違えると、かえって負けやすくなる、というのがテクニカルの怖いところです。
ここで一度、「インジとの付き合い方」を全体的に見直しておきましょう。
① 「インジが正解を教えてくれる」という勘違い
初心者の多くが最初にハマるのが、テクニカル指標を「正解を教えてくれる先生」のように扱ってしまうことです。
RSIが70を超えたから売り。
ストキャスがデッドクロスしたから売り。
MACDがゼロラインを割ったから売り。
このように、「インジがこうなったから、こうする」と思考停止で従ってしまうと、相場の背景をまったく見なくなってしまいます。
テクニカル指標は、あくまで「過去の値動きを別の角度から見せたもの」であって、未来の正解を知っているわけではありません。
インジを見る前に、「今はトレンドなのか・レンジなのか」「どの時間足の流れに乗るのか」を自分で決めてから、最後にインジで確認する、という順番を崩さないようにしましょう。
② 過去チャートでは何とでも見えてしまう罠
テクニカルの勉強をしていると、教材やネット記事で「ここでRSIがこうなっているから売り」「ここでMACDがクロスしているから買い」といった解説をたくさん目にします。
過去チャートをあとから振り返ると、サインがとても綺麗に見えるので、「この通りにやれば勝てそうだ」と感じるのは自然なことです。
でも実際にリアルタイムでチャートを見ると、同じインジを使っていても「どこがそのポイントなのか」が曖昧に感じられることが多いはずです。
これは、過去チャートだと「右側の答え」が見えている前提で、都合よくサインを抜き出しているからです。
過去チャートで綺麗に見えるサイン=リアルタイムで簡単に取れるサイン、とは限りません。
過去検証をするときは、「そのサインが出た瞬間、自分は本当にそこで入れたか?」を意識しながら見る習慣をつけておきましょう。
③ 時間足を変えるとサインが変わるという現実
もうひとつ、テクニカル指標で見落としがちなのが、「時間足を変えるとサインの見え方が全然変わる」という点です。
5分足では売りサインが出ているのに、1時間足ではまだ強い上昇トレンド。
1時間足ではダイバージェンスが出ているのに、4時間足では何も起きていない。
こうした「時間軸ごとのズレ」は、ごく当たり前に起こります。
どの足のサインを優先するかを決めていないと、そのときどきで都合の良い時間足だけを見てしまい、結果的に一貫性のないトレードになってしまいます。
「自分のメイン時間足」と「その上位足」をまず決め、その組み合わせの中でインジを見ることが、ブレない分析の第一歩です。
テクニカル指標で陥りがちな典型パターン
④ サイン待ち病とポジポジ病
テクニカル指標に慣れてくると、「サイン待ち病」と「ポジポジ病」という、正反対なのにセットで起こりやすい症状が出てきます。
サイン待ち病は、「インジの完璧なサインが出るまで一切入れない」状態です。
少しでも条件がズレていると、「これは本物じゃないかも」と見送り続け、気づいたらチャンスを全部逃している、というパターンですね。
一方のポジポジ病は、サインが出るたびに反応してしまい、「とりあえずエントリーしてみる」を繰り返してしまう状態です。
どちらにも共通しているのは、「自分が取りたい形」が明確になっておらず、インジのサインに主導権を渡してしまっているという点です。
まず、「こういう相場のときに、こういう形でだけ入る」というマイルールを先に決め、その上でインジを条件として重ねていく意識を持ちましょう。
⑤ 設定いじり沼と聖杯探し
テクニカル指標のパラメータをいじり始めると、「設定いじり沼」にハマりやすくなります。
RSIの期間を14から9に変えてみる。
ストキャスの設定を5,3,3から14,3,3に変えてみる。
MACDのパラメータを変えてみる。
設定を変えるたびに「こっちの方が勝てそうだ」と思えてしまうのが、人間の怖いところです。
「もっといい設定があるはずだ」と探し続けるうちに、いつの間にか検証ではなく「聖杯探し」になってしまうケースは本当に多いです。
まずはデフォルト設定や、よく紹介されている設定で一定期間検証し、「自分のトレードスタイルに合うかどうか」を確認する方が、結果的には近道になります。
⑥ インジを増やしすぎて何も決められない
チャートに表示できるインジケーターの数には制限がありません。
だからこそ、あれもこれもと追加していくうちに、チャートがインジだらけになってしまうことがあります。
移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表、RSI、ストキャス、MACD、CCI……。
たくさん並べてみると、それだけで「プロみたいでかっこいい」感じがしてしまうのも罠です。
しかし実際には、インジが増えれば増えるほど、サイン同士が矛盾する場面が増え、「どれを優先していいか分からない」という状態になりがちです。
「インジを足す」のは簡単ですが、「インジを減らす」決断のほうが、トレーダーとしての実力を問われます。
自分のチャートを一度スクリーンショットして、「本当に必要なものはどれか」を冷静に見直してみましょう。
テクニカル指標との健全な付き合い方
⑦ 「価格とトレンド」が主役、インジは脇役
テクニカル指標と健全に付き合うための一番のポイントは、「主役はあくまで価格とトレンド構造」だと決めておくことです。
高値・安値の切り上げ/切り下げ。
トレンドラインの角度や、チャネルの向き。
レジスタンスラインやサポートラインとの位置関係。
こうした「価格そのものの動き」から、まず相場の全体像を組み立てます。
その上で、インジケーターは「その見立てを補強するための道具」として使うのが基本です。
インジのサインが自分の見立てと逆を向いているときは、「自分の認識が間違っている可能性」「インジが短期的なノイズを拾っている可能性」の両方を疑い、ポジションサイズを落とす・見送るなど、一段慎重な選択を取りましょう。
⑧ 自分なりの「使いどころ」を言語化する
同じインジケーターでも、「どの場面でどう使うか」はトレーダーによって大きく違います。
ある人はRSIをトレンドフォローの押し目・戻りに使い、別の人はレンジの逆張りにだけ使っています。
どちらが正しいという話ではなく、「自分がどう使うか」を決めているかどうかが重要です。
おすすめなのは、ノートやメモアプリに、
・RSI:○○のときに、××を見る。
・ストキャス:レンジ上限/下限での行き過ぎ確認専用。
・MACD:4時間足でトレンドの勢いが強いか弱いかを見るだけ。
といったように、「インジごとの役割説明書」を書いてしまうことです。
この作業をすると、「なんとなく使っているインジ」が一気に減り、判断の迷いも小さくなります。
⑨ 検証と記録で相性を確かめる
テクニカル指標は、「誰かがこう言っていたから」ではなく、「自分が検証して、納得できたかどうか」で選ぶのが一番です。
まずは1つのインジに絞って、過去チャートで「その条件通りにエントリーしていたらどうなっていたか」を淡々と記録してみましょう。
勝ち負けの数だけでなく、
・どんな相場環境のときに機能しやすいか。
・どんな相場環境のときにダマシが多いか。
・自分のメンタルと相性が良いか(大きく含み損を抱えやすいかなど)。
といった定性的なメモも残しておくと、「このインジはこういう場面でだけ使う」といった線引きがしやすくなります。
検証と記録を通して、インジとの距離感を自分で決めていくことが、テクニカルを「自分のもの」にする近道です。
実戦で役立つテクニカル指標チェックリスト
⑩ エントリー前に確認したい5つの質問
最後に、実際にエントリーボタンを押す前に、自分に投げかけておきたい質問をまとめておきます。
この5つを口に出してチェックするだけでも、「インジに振り回されるトレード」がかなり減ります。
・今、自分はどの時間足のトレンドに乗ろうとしているのか?
・そのトレンドは、ダウ理論や移動平均線から見て本当に出ていると言えるか?
・エントリーしようとしている価格帯は、サポレジやトレンドラインとどう関係しているか?
・テクニカル指標は、その見立てを「後押し」しているか、それとも「逆を向いている」のか?
・損切りと利確の位置は、インジではなく価格の節目を基準に決めているか?
これらにきちんと答えられないときは、「まだ準備が足りないサイン」として、一度手を止めてみる価値があります。
⑪ 連敗したときに振り返るポイント
連敗が続くと、「インジのせいだ」と感じて、すぐに別の指標に乗り換えたくなります。
ですが、多くの場合、問題はインジそのものではなく、「使い方」や「リスク管理」のほうにあります。
連敗したときは、次のような視点で振り返ってみてください。
・インジのサインだけでエントリーしていなかったか?
・上位足のトレンドに逆らっていなかったか?
・サポレジやトレンドラインを無視していなかったか?
・損切りと利確のルールを守れていたか?
インジを変える前に、まず「自分のルール」と「実際の行動」がズレていないかを確認することが大切です。
それでもどうしても合わないと感じるなら、そのとき初めて別のインジを検討しても遅くはありません。
⑫ インジを「減らす勇気」を持つ
最後のポイントは、チャートからインジを「減らす勇気」を持つことです。
最初はたくさん試してみるのも良い経験ですが、最終的には「数個のシンプルな組み合わせ」に収れんさせていくのが現実的です。
インジを減らすと、不安になるかもしれません。
「情報が減って、余計に負けるのでは?」と感じるのも自然です。
でも実際には、情報量が減るほど、「何を基準に判断しているのか」が自分でも分かりやすくなります。
判断基準がはっきりしているトレードは、ブレにくく、検証もしやすく、改善サイクルも回しやすいです。
テクニカル指標は、「多ければ多いほど有利」ではありません。
自分の目と、シンプルな道具を信じて、少しずつ「スリムなチャート」に近づけていきましょう。
まとめ|インジに振り回されず「主役=価格、脇役=指標」という距離感を保つ
第48話では、RSI・ストキャス・MACD・ダイバージェンスなど、これまで学んできたテクニカル指標を前提に、「インジをどう使うべきか/どう使わないべきか」という視点から注意点と付き合い方を整理しました。
インジが「正解を教えてくれる先生」だと思い込んでしまうこと、過去チャートならいくらでも綺麗なサインが見つかってしまうこと、時間足を変えるとサインの見え方が変わることなど、テクニカルには構造的な落とし穴があることをあらためて確認しました。
また、サイン待ち病・ポジポジ病・設定いじり沼・聖杯探し・インジ増やしすぎ問題といった典型パターンを通じて、「インジに主導権を渡してしまう」と、かえって判断がブレて負けやすくなることも見てきました。
そのうえで、「主役は価格とトレンド構造」「インジはその見立てを補強する脇役」というスタンスに立ち返り、自分なりの“使いどころ”を言語化し、検証と記録で相性を確かめ、必要のないインジは思い切って減らしていくことの重要性をお伝えしました。
エントリー前の5つの質問(どの時間足のトレンドに乗るのか/そのトレンドは本当に出ているのか/価格はどの節目にいるのか/インジはその見立てを後押ししているのか/損切りと利確は価格の節目で決めているか)を習慣化することで、「インジに振り回されるトレード」から一歩ずつ抜け出していけます。
テクニカル指標そのものは敵ではなく、付き合い方次第でどこまでも頼れる味方になってくれる存在です。 次回は、ここまで学んできたテクニカルの要素をまとめ上げ、「自分のトレードルールをどう設計していくか」という実践的な組み立て方に進んでいきましょう。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
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