同じ通貨ペアのチャートを見ているのに、「上昇にも見えるし、下降にも見えるし、レンジにも見える…」と感じたことはありませんか。
多くの場合、その違和感の正体は「1つの時間足だけでチャートを判断していること」にあります。
そこで第39話では、同じ通貨ペアを複数の時間足でチェックする「マルチタイムフレーム分析」をテーマに、上位足・中位足・下位足の役割分担と、実践的な見方の流れを整理していきます。
日足や4時間足で「相場の地図」を確認し、1時間足で押し目・戻りのゾーンを決め、15分足や5分足ではエントリーと決済のタイミングだけを見る──そんなシンプルなステップに分解できると、時間足ごとに意見がバラバラで迷う場面がぐっと減ってきます。
「上位足で方向を決めて、下位足ではタイミングだけを取る」というマルチタイムフレームの感覚を、この回でしっかりつかんでいきましょう。
なぜ同じ通貨ペアを複数の時間足で見るべきなのか
第39話では、同じ通貨ペアでも「いろんな時間足のチャートをチェックする」というテーマで、マルチタイムフレームの考え方を整理していきます。
1つの時間足だけを見ていると、上昇にも見えるし、下降にも見えるし、レンジにも見える……と、どうしても判断がブレやすくなってしまいます。
そこで役立つのが、「上位足で全体の流れを確認し、中位足でシナリオを描き、下位足でタイミングだけを見る」という複数時間足の視点です。
ここではまず、複数の時間足を見る意味とメリットから、イメージしやすく解説していきましょう。
① 1つの時間足だけだと世界が狭くなる
例えば、5分足だけを見ていると、ほんの少しの押し目も大きな下落に見えてしまいます。
逆に、強いトレンドの一部で少し逆行しただけなのに、トレンドが終わったと勘違いしてしまうことも多いです。
これは、自分が見ている時間足のスケールでしか世界を認識できないからなんですよね。
上位足ではきれいな上昇トレンドでも、5分足だけを見ると上下のノイズにしか見えない場面もあります。
逆に、日足ではただの調整の一部なのに、1分足だけで見ると「完全にトレンド転換した」と錯覚することすらあります。
だからこそ、「この動きはもっと大きな流れのどの一部なのか?」を確認するために、複数時間足を見る習慣が重要になってくるわけです。
② 上位足は「地図」、下位足は「拡大鏡」
複数時間足のイメージとしておすすめなのが、上位足=地図、下位足=拡大鏡という考え方です。
いきなり拡大鏡だけで地面を眺めても、「今どこにいるのか」「どっちに進めばゴールなのか」は分かりません。
まずは地図を開いて、大まかなルートや現在地を把握する必要があります。
トレードも同じで、日足や4時間足のような上位足で「今は上昇トレンドの途中なのか」「大きなレンジの中なのか」を把握することが先です。
そのうえで、1時間足・15分足といった下位足に切り替え、押し目や戻りの細かい形を拡大して見ていきます。
こうすることで、「大きな流れに従いながら、小さな波でタイミングを計る」という順張りの基本形を取りやすくなります。
③ 複数時間足でシナリオの精度が上がる
時間足を増やすと、情報が増えて混乱しそうですが、正しく使えばむしろシナリオはシンプルになります。
日足で上昇トレンド。
4時間足で押し目形成中。
1時間足で安値の切り上げが見え始める。
こんなふうに、複数の時間足が同じ方向を向き始めたタイミングは、シンプルに「その方向へ順張りする」という選択肢が取りやすくなります。
逆に、日足は上、4時間足はレンジ、1時間足は下落トレンド……というように、時間足ごとの方向性がバラバラなときは、そもそも手を出さないという選択もできます。
トレードしない理由を持てるようになるのも、マルチタイムフレームの大きなメリットなんですよね。
時間足ごとの役割分担を決めよう
複数時間足を見るといっても、なんとなくあちこちの時間足を行ったり来たりしているだけだと、逆に迷いが増えてしまいます。
そこで大事になるのが、「自分はどの時間足をどういう役割で見るのか」をあらかじめ決めておくことです。
① 上位足:相場の方向と環境認識担当
まずは上位足です。
スイング寄りなら日足と4時間足、デイトレ気味なら4時間足と1時間足あたりを「上位足」として扱うのがオーソドックスです。
上位足の役割は、「今の相場は上なのか、下なのか、それともレンジなのか」を決めることです。
高値と安値の切り上げ/切り下げ、長期移動平均線の向き、重要なレジスタンス・サポートの位置などをざっくりと確認します。
ここで「買いが有利そうだな」と判断したら、下位足でも基本は買い目線を優先する、という前提が決まります。
逆に、上位足がどう見てもレンジなら、「今日は積極的に攻める日ではないな」と一歩引いた視点を持てるのもポイントです。
② 中位足:シナリオとゾーン設定担当
次に、中位足です。
ここでは、1時間足や30分足あたりを「中位足」として扱うイメージを持ってください。
中位足の役割は、「どこからどこまでを取りにいくのか」「どのゾーンが押し目・戻りの候補になるのか」を具体化することです。
トレンドラインを引いたり、チャネルラインを描いたり、直近の高値・安値から水平線を引いたりして、「この辺りで反応しそうだな」というエリアをざっくり決めます。
また、中位足のチャートで、波の一つひとつのサイズ感や、押し戻しの深さも見ておくと、利確のイメージも作りやすくなります。
ここまでで、「上位足のこの流れの、この一部を取りにいく」というシナリオの骨組みができあがってきます。
③ 下位足:エントリーと決済タイミング担当
最後に、5分足や15分足、スキャル気味なら1分足などの下位足です。
下位足の役割は、エントリーと決済の「タイミング調整」です。
上位足と中位足でシナリオとゾーンが決まっていれば、下位足では「ゾーンに入ってきたあと、どのタイミングで押し目買い/戻り売りをするか」に集中できます。
具体的には、短期の高値・安値の切り替わり、ローソク足のヒゲ、MACDやストキャスの反転サインなどを見ていきます。
ただし、下位足で見えるものはあくまで「タイミング」であって、「方向」ではないことを忘れないでください。
方向は上位足で、エントリーポイントは下位足で──という役割分担を守ることで、時間足どうしの矛盾が減り、判断がシンプルになっていきます。
実践的なマルチタイムフレーム分析の流れ
ここからは、実際にチャートを開いたときにどんな順番で時間足を切り替えていけばよいか、ステップ形式でイメージしてみましょう。
① 日足・4時間足で「方向」と「地形」を把握する
最初に開くのは、その通貨ペアの日足と4時間足です。
ここでやることは、
・上昇トレンドか、下降トレンドか、レンジか
・直近の重要な高値・安値はどこか
・どのあたりに分かりやすいレジスタンス・サポートがあるか
・長期の移動平均線と価格の位置関係
といった「地形の確認」です。
この段階では、細かい波にこだわりすぎず、「今は上なのか下なのか」「今ここで攻めるべき環境なのか」というざっくりした判断で十分です。
② 1時間足・30分足で「ゾーン」と「狙いの波」を決める
方向と地形が見えたら、1時間足や30分足に切り替えます。
ここでは、
・押し目買い/戻り売りを狙うなら、どの辺まで戻ってきてほしいか
・どのラインを超えたらシナリオが崩れるのか
・どの高値/安値までを「取り分」として狙うのか
といったシナリオ作りをしていきます。
このとき、「どこで入るか」よりも、「どこで間違いと認めるか」「どこで利確するか」を先に決めておくのがポイントです。
損切りと利確の候補が見えてくると、そのあいだの波が「狙うべき1トレードのサイズ」としてイメージしやすくなります。
③ 15分足・5分足で「入る・出る」のきっかけを探す
最後に、15分足や5分足をチェックします。
ここでは、「ゾーンに価格が入ってきたあと」の値動きに注目します。
例えば押し目買いなら、
・安値の切り上げが見え始めたか
・長い下ヒゲが出て、買い戻されている様子があるか
・MACDやストキャスが、売られすぎゾーンから上向きに反転し始めているか
といったサインを確認します。
こうした条件がそろっていれば、エントリーのタイミングとしては「流れに乗りやすい場所」に近づいていると判断しやすくなります。
逆に、ゾーンまで来たのに勢いよく突き抜けてしまうようなら、そのトレードは見送り、次のチャンスまで待つ選択も冷静に取りたいところです。
マルチタイムフレームでやりがちな失敗と注意点
複数時間足はとても強力な武器ですが、使い方を間違えると「時間足を見るほど迷う」という本末転倒な状態になりがちです。
最後に、よくある落とし穴と、その回避策をまとめておきます。
① 見る時間足を増やしすぎて迷う
マルチタイムフレームを知ると、「5分・15分・30分・1時間・4時間・日足・週足……」と、つい全部をチェックしたくなります。
しかし、時間足を増やせば増やすほど、「この足では上、あの足では下」という矛盾が見つかりやすくなり、決断が遅くなりがちです。
おすすめは、「上位足2つ+中位足1つ+下位足1つ」くらいに絞ることです。
例えば、日足・4時間足・1時間足・15分足の4つだけをルールとして使い、「それ以外は見ない」と決めてしまうのもひとつの手です。
見る足を絞ることで、判断が早くなり、トレードの軸も安定していきます。
「迷ったらポジションを持たない」という選択をとりやすくなるのも、結果的には大きなプラスです。
② 上位足を無視して下位足だけで判断する
もうひとつありがちなのが、「一応上位足は見るけれど、エントリーのときにはすっかり忘れてしまう」というパターンです。
5分足できれいな上昇が見えると、「ここで押し目買いしたい」と思ってしまうのは自然なことです。
でも、4時間足では長期のレジスタンスにぶつかっていて、むしろ戻り売りゾーンのど真ん中かもしれません。
そんなときに5分足だけ見て買ってしまうと、上位足の「売り圧」に一瞬で飲み込まれてしまう可能性が高くなります。
だからこそ、エントリー前に「上位足の方向とゾーン」を声に出して確認するくらいの習慣をつけておくと、安全側にブレやすくなります。
上位足の逆をやるときは、「あえて逆をやっている」という自覚を持てるようにしておきたいところです。
③ シナリオが合わないのに無理やりトレードする
マルチタイムフレームで環境認識をすると、「今日はやらないほうがいいな」という日も増えてきます。
日足は上だけど4時間足はレンジ、1時間足も方向感がなく、15分足では上下に振られているだけ、という日は珍しくありません。
そんなときに、「せっかくチャートを開いたんだから何かしなきゃ」と、無理やりトレードしてしまうのは、マルチタイムフレームの利点を自分で潰している状態です。
むしろ、「自分のパターンに合わない日は、何もしない」という選択肢を持てることこそ、複数時間足を使う最大のメリットと言ってもいいくらいです。
トレードしない時間も立派な仕事だと思って、シナリオが整ったときだけ力を使うようにしていきましょう。
まとめ|同じ通貨ペアでも時間足を変えると世界が変わる
第39話では、同じ通貨ペアでもいろんな時間足のチャートをチェックする「マルチタイムフレーム分析」について、考え方と実践の流れを整理してきました。
もっとも大切なのは、時間足ごとの役割分担です。日足・4時間足といった上位足では、トレンドの方向やレンジかどうかといった「相場の環境認識」を担当させます。
1時間足・30分足といった中位足では、「どこからどこまでの波を狙うのか」「どのゾーンが押し目・戻りの候補になるのか」といったシナリオ作りと、レジスタンス・サポートのゾーン設定をしていきます。
そして15分足・5分足などの下位足では、上位足と中位足で決めたシナリオに沿って、ローソク足の形やオシレーターの反転を使いながら、エントリーと決済のタイミングだけに集中するのがポイントでした。
時間足を増やすときほど、見る足を絞り、方向は上位足・ゾーンは中位足・タイミングは下位足とシンプルに整理しておくことで、判断はむしろラクになります。
次回は、このマルチタイムフレームの考え方も踏まえつつ、「レンジ相場では逆張りで攻めるべきか?」という、多くのトレーダーが悩むテーマを掘り下げていきましょう。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
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