チャートにインジケーターを載せていくと、「移動平均線もボリンジャーバンドもMACDもRSIも…」と、気づけば画面が線と数値だらけになっていきがちです。
しかも、それぞれが違うサインを出し始めると、「どれを信じればいいの?」「結局、上なのか下なのか分からない…」という状態にハマりやすくなります。
そこで第41話では、これまで登場してきた移動平均線・ボリンジャーバンド・一目均衡表・MACD・RSI・ストキャスティクスなどを、「トレンド系指標」と「オシレーター系指標」という2つのグループに分けて、役割と使い分け方を整理していきます。
ポイントはシンプルで、トレンド系で「方向」を決めて、オシレーター系で「行き過ぎとタイミング」を見るという順番を守ることです。
インジケーターに振り回される側から、「インジケーターを自分のルールに合わせて使う側」へと、一緒に切り替えていきましょう。
トレンド系指標とオシレーター系指標をどう使い分けるか
ここまでの連載で、移動平均線やボリンジャーバンド、一目均衡表、MACD、RSI、ストキャスティクスなど、さまざまなテクニカル指標を個別に見てきました。
第41話では、それらをひとつ上の視点からまとめて、「トレンド系指標」と「オシレーター系指標」をどう組み合わせて使うかというテーマで整理していきます。
多くの初心者がやりがちなのは、「とりあえずいろんなインジを表示して、全部のサインを追いかける」パターンです。
しかし、本当にやりたいことは、「相場の方向」と「今の位置」を分かりやすく把握することだけなんですよね。
まずは、トレンド系とオシレーター系の役割の違いから、シンプルに整理していきましょう。
① トレンド系指標の役割
トレンド系指標は、その名のとおり「今どっちに流れているか」「トレンドがあるのか、ないのか」を見るための道具です。
代表的なのは、移動平均線、ボリンジャーバンドのミドル、一目均衡表の基準線・雲、MACDなど。
チャート上で「価格の平均的な流れ」を滑らかにしてくれることで、細かい上下のノイズに惑わされず、大きな方向性をつかみやすくしてくれます。
たとえば、移動平均線が右肩上がりで、価格がその上に乗っている状態なら、「基本は上方向の流れが優勢」と判断しやすいですよね。
逆に、右肩下がりの移動平均線の下に価格がいるなら、「売り目線を優先すべき環境」と考えられます。
このようにトレンド系は、「買い目線か売り目線か」「そもそもトレンドが出ているのか」といった“方向性の土台”を作る役割がメインです。
② オシレーター系指標の役割
一方、オシレーター系指標は、RSIやストキャスティクス、MACDの一部機能など、「買われすぎ」「売られすぎ」といった相場の行き過ぎ具合を見るための道具です。
レンジ相場の中で、「上限付近で買われすぎ」「下限付近で売られすぎ」といった状態を見つけるのに向いています。
また、トレンド相場の中でも、一時的な押し目や戻りの深さを測るヒントになったり、ダイバージェンスで勢いの変化を察知するのに役立つ場面もあります。
ただし、オシレーターは「行き過ぎ」を教えてくれるだけであり、「トレンドそのものを止める力」を持っているわけではないことに注意が必要です。
強いトレンド中は、RSIが70を超えたまま、ストキャスがずっと買われすぎゾーンに張り付いたまま、価格だけがどんどん進んでいくことも珍しくありません。
だからこそ、オシレーターは「トレンドを決める道具」ではなく、「トレンド方向の中で、どのあたりまで行き過ぎているか」を測る補助として使うのが基本です。
③ まず押さえるべき大原則
ここまでを一言にまとめると、
「トレンド系で“方向”を決めて、オシレーター系で“タイミングと行き過ぎ”を見る」
この順番が、もっともシンプルでブレにくい使い方です。
逆に、オシレーターから先に見始めてしまうと、「RSIが70だから売り」「ストキャスが20だから買い」といった、方向性を無視した逆張りになりやすくなります。
まずはトレンド系で相場の“地図”を確認してから、オシレーターで“細かい足元”を見る。
この大原則を頭の片隅に置いて読み進めてもらえると、トレンド系とオシレーター系の役割分担がグッと分かりやすくなるはずです。
トレンド系×オシレーター系の基本的な組み合わせ方
次に、実際のチャートでどんな組み合わせを使えばいいのか、具体的なパターンをいくつか見ていきましょう。
ここでは、シンプルかつ汎用性の高い「移動平均線×RSI」「ボリンジャーバンド×ストキャス」「一目均衡表×オシレーター」という3パターンを例にします。
① 移動平均線 × RSI:ベーシックな順張り+押し目・戻り監視
もっともシンプルで汎用性が高いのが、「移動平均線 × RSI」です。
移動平均線(たとえば20MAや50MA)は、トレンド系として「今の方向」と「押し目・戻りのゾーン」を示してくれます。
RSIは、「買われすぎ/売られすぎ」の度合いを見るオシレーターです。
具体的には、
・移動平均線が右肩上がりで、価格がその上にある → 基本は押し目買い狙い
・RSIが30〜40付近まで下がり、再び上向きに反転してくる → 押し目の終わり候補として注目
というように、「上昇トレンドの中で、RSIの売られすぎゾーンからの回復を押し目のサインとして見る」使い方が分かりやすいです。
逆に、下降トレンド中で移動平均線が下向きなら、RSIが70付近から下に折り返してくる場面を「戻り売りの候補」として見る、という発想ですね。
ここでも大事なのは、「RSIが30だから買い」ではなく、「上昇トレンド中の押し目ゾーンで、RSIが30付近から戻り始めたから買いを検討する」という順番を守ることです。
② ボリンジャーバンド × ストキャス:レンジ内の逆張り補助
次に、レンジ相場で使いやすいのが「ボリンジャーバンド × ストキャス」です。
ボリンジャーバンドの±2σ付近は、レンジ相場における「行き過ぎゾーン」として機能しやすい場所です。
ストキャスティクスは、短期的な買われすぎ・売られすぎと、反転のタイミングを測るのが得意なオシレーターです。
レンジ相場だと判断できている場面で、
・価格がボリンジャーバンド+2σ付近まで上昇
・同時にストキャスが80以上からデッドクロス
といった条件がそろうと、「レンジ上限付近での一時的な行き過ぎ」として逆張りショートを検討できるイメージです。
もちろん、これも「レンジ判定」が前提条件です。
上位足でトレンドが出ているのに、下位足だけ見てボリンジャーバンドとストキャスで逆張りをすると、トレンドに飲まれるリスクが高まるので注意しましょう。
③ 一目均衡表 × オシレーター:雲の外と中で役割を変える
一目均衡表を使う場合は、「雲の外」と「雲の中」でオシレーターの役割を変えると整理しやすくなります。
雲の外に価格がしっかり抜けていて、基準線も転換線もトレンド方向を向いているときは、トレンド系としての一目を優先します。
このとき、RSIやストキャスは「押し目・戻りのタイミング」を測る補助役として使います。
一方で、価格が雲の中に入り、基準線・転換線も横向きになっているような場面では、相場が迷っているレンジ状態と考えるのが自然です。
この場合、オシレーターは、「雲の中レンジにおける行き過ぎ」を測る道具として使えますが、そもそもトレード自体を控えるサインとして扱うのも有効です。
「雲の中+オシレーターの逆張り」は、テクニカルとしてはそれなりの“それっぽさ”が出るものの、ダマシも増えやすいので、慎重に扱うようにしましょう。
インジケーターの「盛りすぎ」を防ぐ考え方
ここまで見ると、「移動平均線もRSIもMACDもボリンジャーバンドも…」と、チャートがインジだらけになりそうですよね。
しかし、インジケーターは「多ければ多いほど正確になる」わけではありません。
むしろ、多すぎるほどサインが矛盾し、「何を信じていいか分からない」という状態に陥りがちです。
① トレンド系は「1〜2種類」で十分
トレンド系指標は、役割がかぶるものが多いので、基本は1〜2種類に絞ってしまって問題ありません。
例えば、
・移動平均線+ボリンジャーバンド
・移動平均線+一目均衡表
・一目均衡表のみ(他はほとんど使わない)
といった感じで、自分が「見やすい」「しっくりくる」と感じたセットをひとつ決めてしまうのがおすすめです。
移動平均線だけでも十分戦えますし、そこにボリンジャーバンドを足す程度でも相場の状態はかなり把握しやすくなります。
② オシレーター系も「1種類」でOK
オシレーターも、RSIとストキャスとMACDと…と重ねるほど混乱します。
オシレーター系は基本、「1種類を使い込む」くらいのほうが、感覚が安定しやすいです。
RSIの動きに慣れているなら、まずはRSI一本に絞って検証する。
ストキャスの方がしっくりくるなら、ストキャス一本にまとめる。
そのうえで、どうしても必要だと感じたときに、特定の場面だけもう1種類を補助的に使う、くらいのバランスがちょうどいいイメージです。
③ 価格そのものを一番上に置く
そして何より大切なのは、インジケーターの前に、「価格そのもの」を一番上に置くという姿勢です。
インジケーターはすべて「価格の加工品」です。
どれだけ高度なインジを並べても、それらは過去の価格を計算した結果でしかありません。
チャートの波の形、高値・安値の切り上がり/切り下がり、ローソク足のヒゲや実体。
こうした「生の値動き」をまず見て、そのうえでインジケーターを“字幕”のように使うイメージを持てると、テクニカル分析は一気にシンプルになります。
インジが主役、価格が脇役になってしまわないように、常に意識しておきたいポイントです。
トレンド系とオシレーター系を使ううえでの注意点
最後に、トレンド系とオシレーター系を組み合わせて使うときに、特に気をつけたいポイントをまとめておきます。
① サインの「全部一致」を待ちすぎない
トレンド系とオシレーター系を並べ始めると、「全部のサインがそろった完璧なポイント」を待ちたくなります。
移動平均線も、ボリンジャーバンドも、RSIも、ストキャスも、ローソク足のパターンも……。
しかし、現実の相場でそこまで完璧に条件がそろう場面は多くありません。
むしろ、待ちすぎてエントリーできず、「結局、自分のルールでは一生トレードできない」という状態になることもあります。
「方向」と「ゾーン」と「タイミング」のうち、どれを重視するかを決めておくと、どこでGOサインを出すかの基準がはっきりしてきます。
完璧なサインはなくても、「期待値のあるポイント」に近づいたら、小さく入って小さく負ける準備をしておくことが大切です。
② インジ同士の矛盾で悩みすぎない
移動平均線は上、RSIは売られすぎ、ストキャスはまだ下向き……。
こうした「インジ同士の矛盾」は、チャートを見ていれば当たり前のように出てきます。
そのたびに「どっちを信じればいいのか」と悩み続けていると、チャートを開くたびに消耗してしまいます。
そこで役立つのが、「優先順位を決めておく」という発想です。
たとえば、
・一番優先するのは値動き(高値・安値の切り上がり/切り下がり)
・次にトレンド系(MA・一目など)
・最後にオシレーター(RSI・ストキャスなど)
と決めておけば、オシレーターだけが逆を向いていても、「それは押し目・戻りかもしれない」と解釈しやすくなります。
③ まずはシンプルな組み合わせで検証する
最後にいちばん大事なのは、まずはシンプルな組み合わせで、自分の目で検証することです。
移動平均線+RSI。
ボリンジャーバンド+ストキャス。
一目均衡表+RSI。
どれでも構いませんが、「これで1カ月分の過去チャートを見てみよう」と決めて、パターンを集中的に観察してみてください。
本やネットで覚えた知識が、自分の中で「体感」に変わってくると、インジケーターの使い分けも一気にシンプルになっていきます。
トレードの世界では、複雑さよりも、「自分が理解できるシンプルさ」のほうが、長期的には武器になります。
まとめ|トレンド系で方向を決め、オシレーターで行き過ぎとタイミングを見る
第41話では、「トレンド系指標とオシレーター系指標をどう使い分けるか」というテーマで、それぞれの役割と具体的な組み合わせ方を整理しました。
大前提として、トレンド系は「今どちらに流れているか」「トレンドがあるかどうか」を把握するための道具、オシレーター系は「買われすぎ・売られすぎ」「行き過ぎ具合」を測る補助ツールだという役割分担がありました。
具体的には、移動平均線で方向と押し目・戻りゾーンを見て、RSIで押し目の深さや戻り売りのタイミングを確認する「移動平均線×RSI」、レンジ相場でボリンジャーバンドの±2σとストキャスを組み合わせる「ボリンジャーバンド×ストキャス」など、シンプルなペアで考えるのが現実的です。
また、インジケーターは「盛れば盛るほど精度が上がる」わけではなく、トレンド系は1〜2種類、オシレーター系は1種類に絞り、価格そのものを一番上位に置くという視点が、迷いを減らすうえでとても重要でした。
最後に、全部のサインが完璧にそろうポイントを待ちすぎず、「方向(トレンド系)」「ゾーン(ライン・MA)」「タイミング(オシレーター)」のバランスをどこで取るかを自分なりに決め、その条件を過去チャートで検証していくことが、インジケーターを「自分の武器」に変えていく近道です。
次回は、オシレーターの代表格であるRSIにフォーカスし、「RSIを表示させ、基本的な売買判断を確認する」ステップを、具体的な設定例とともに見ていきましょう。
【投資に関する注意】
本記事の内容は、筆者の個人的な見解であり、特定の通貨ペアや金融商品の売買を推奨するものではありません。
FX取引は元本保証のないリスクを伴う金融商品です。実際のトレードは、必ずご自身の判断と責任にて行ってください。
詳しくは当サイトの免責事項をご確認ください。